事故と看護記録


事故と看護記録
記録と一口に言っても看護の現場においては様々な記録物があります。
ここでの記録は、主に時系列で観察した事、看護者が実施したことなどが書かれている記録を看護記録としています。(もちろん看護計画記録なども大切なものです。)

まず看護記録の機能については、

看護記録の機能
看護記録の機能としては、次の3つがあげられる。

○看護の実践を明示する。
○患者に提供するケアの根拠となる。
○医療者間および患者・医療者間の情報交換のための手段となる。
また、次のような役割も担う。
○施設がその設立要件や診療報酬上の要件を満たしていることを証明する。
○ケアの評価やケアの向上開発の貴重な資料となる。
○医療事故や医療訴訟の際の法的資料となる。

看護記録の開示に関するガイドライン 日本看護協会

とあります。

インシデントと事故が生じたときの看護記録への記述と各報告書との関連を考えてみたいと思います。

・インシデントレポ-ト(ヒヤリハット)と看護記録
インシデントが生じた時に、看護記録には記載するのか?
看護記録は実際に患者に実施したことを記載するので、生じたインシデントは、患者には実施されなかった事柄であるため、看護記録に記入の必要性はない。
つまりインシデントを看護記録用紙には記入する必要はないと思われます。
ただし、インシデントは、インシデントレポ-トに詳しく記入し後の事故防止に生かすことは必要です。

・事故報告書と看護記録
事故が生じた時に、どの程度のことを看護記録に書けば良いのか?
看護記録の機能として ○看護の実践を明示する。
とあるように記録は、患者に実施したことを記述するものであるから、事故を起こすなど間違った行為をした場合も、その行為をしたことを記入しなければならない。
経時的な事故後の実施事項をどの程度記入すればよいのかについては、
事故対応のアセスメントは、必要だと思われますが、分析、詳しい要因を看護記録で述べる必要はないと思われます。それらは、事故報告書に詳しく記入すべきで看護記録には、事故の経過とその後の対処を記入するのがよいと思います。
記入する内容については、可能であれば記録する人を明確にしておき、時間の確認、看護師からの説明、インフォ-ムドコンセントを細かく記述できることが出来、被害を受けた側にも確認をしていただくのがよいと思います。
後日、余分なトラブルにならないためにも説明と記録は、しっかりするべき必要があると思います。
看護記録には、法的根拠がないといわれていますが、記述されていない、改竄されている、隠蔽されている。等のことがあると後のトラブルの原因となることがありますし、看護のレベルも問われるところです。

診療録などの開示について
診療情報の提供の範囲として
いわゆる診療録以外にも
その他、医療従事者が作成した看護記録、処方せん、検査記録、エックス線写真等の診療に関する諸記録
とありまた内容としては、
患者が説明を求めた事項。
と言う項目がある。
つまり、事故などがあり患者および家族が診療録の閲覧を希望した場合(いわゆるカルテ開示)しかるべき手続きを経て、診療録開示することになりますが、それ以外の事故報告書についての開示は、上記にあるようにその他のところに入り、内容も患者が説明を求めた事項。にはいるのではないかと考えます。(ただしこれについては未確認です。)

また、訴訟になった場合
看護記録には法的根拠は無いようですが、また意外なことに医師のカルテの改竄も倫理的には問題であるが法的には問題となら無いという考えもあるようです。
記録は、看護のレベルを測定する指標の一つといえると思います。
事故が生じてもアセスメントを行いそれに応じた適切な看護をしていたのに事故が生じてしまった場合不可避で生じてしまった事故という可能性もあります。
しかし、アセスメントも対策も看護記録に書かれていない場合は、適切な看護が行われていたという証拠にはならず、看護記録から看護のレベルを問われるものと思われます。
記録は、看護の専門性と正当性を証明するもので、カルテ開示ということもあり、隠すことなくありのままをカルテに記述していかないと訴訟以外の事でもトラブルとなる可能性が考えられます。
訴訟対策のために看護記録を書くのであれば本末転倒だと思いますが、何かが生じた際には看護記録によって大きく左右される物だと思います。

複数の看護者が絡んだ事故がありました。それぞれに聞き取り調査をしましたところ、やはり自分にとって不利にならないよう自然な防御的反応があるようです。
人間らしいところなのかもしれませんが客観視をしなければいけないのでこれでは困ります。
また取り組み方次第では、言い訳を聞くことも結構なことだと思いますが、全体として積極的に事故防止に向かっていこうという方向付けがないと意味のないものだと思います。


「医療ミスはなぜ起こるのか」 NHK BS


「医療ミスはなぜ起こるのか」 NHK BS 


ダ-ロウ スミソンプロ イギリス 2000 製作  
より言葉を載せておきます。

システムズ アプロ-チ
システムを体系的にとらえて問題解決を図るというもの、単純な医療ミスなどあり得ない。複雑な原因がいろいろ重なってミスがおきる。単に医師を責めるのでは無く、なぜミスがおきたかを理解するようにつとめるというのがシステムズ アプロ-チの考え方です。

英 ヘルスケア向上協会 ドナルド・バ-ウィック博士
よい医者がいて、よい看護婦がいて、よい薬剤師がいれば全てうまくいくというものではありません。彼らは互いに支え合っていてその相互関係こそが重要なんです。責任の細分化やシステムの複雑さに原因があります。決して個人のせいではないのです。

小児心臓外科医長 マ-ク・デ・レバル
(問題は些細なミスの方にあることが明らかになった)
ごく些細なミスは、現場の医療チ-ムも見逃しがちです。その結果何も手が打たれないまま積み重なって、しまいには大きな影響を及ぼしてしまうものです。私が言っている些細なミスとは、例えば、手術前に赤ちゃんに食事を与えたり(OP前の赤ちゃん)する事です。この場合手術は延期されなければいけません。医療チ-ムのコミュニケ-ション不足があげられますね。外科医が勝手に時間を決めたりしたら麻酔科医に手術に間に合わないなんて事になるからです。
私たちはミスを率直に認め、過ちから学ばなくてはなりません。これが医療ミスを無くす唯一の道であることを医療関係者を始め、みんなに訴えていくことが大切です。

危機管理責任者 ドニ・ハ-ス
われわれの病院で医療ミスが起こりました。これがその原因ですと明言すること、それがこの病院だけでなく医療全体の改善と全ての患者の安全につながるんです。

麻酔科医 ジョ−ジ・マックレ-ン
医療ミスは数多く発生しているというのに、われわれのケ-スは(ミスはないと言う結果になっていたが自ら調査しミスがあったことを認め謝罪したという事)いまだに特別な例とされています。つまり何万件ものミスは隠蔽され誰も口を開かず、何も手をつけられないでいるということでしょう。自ら過ちについて誠実に人間らしい対処をしたと褒め称えられ続けるわれわれが例外であるならいったいどんなことが医療現場でまかり通っているのか考えただけでも恐ろしいです。


80% (ヒュ-マン・エラ-)


図は、航空機における事故原因の分類です。

「機長のマネジメント」村上 斎藤 産能大学出版部 1997 P.70より 少し改変あり
原版は、基本的技術は、基本的技倆(ミスジャッジや間違った決定を含む)とあります。

基本的技術とその他を合わせると80%になります。この80%のところがヒュ-マン・エラ-が関係しているところです。
残りの20%は、構造的欠陥、外的環境要因でヒュ-マン・エラ-が関係していないところです。
80%は、「たとえテクノロジ−がいかに進歩しようとも、またパイロットに対していかに厳しい訓練を課したとしても、そこにはまだ人間そのものの特性に起因する事故が起こる余地が残されていた」
「機長のマネジメント」村上 斎藤 産能大学出版部 1997 P.71より

つまり航空に関する技術の進歩などにより事故は大幅に減少したそうですが、ある一定のところからは横這いになったそうです。
この横這いの減少しないところがヒュ-マン・エラ-が関係しているところです。また、この80%の中には、知識や技術には関係なくしかも機材などに不具合がないのに事故が生じてしまうことがあるとのことです。
医療事故も80%がヒュ-マン・エラ-ではないかと言われています。
看護に関する事故は、いろいろな器械が増える傾向にありますが、航空機などのように器械による依存度は低いのではないかと思います。つまりそれだけヒュ-マン・ファクタ- 人間に関する要因が看護の事故の場合は多くを占めるのではないかと思います。

ちょうどTV番組でヒュ-マン・エラ-について放映していましたので、参考に載せておきます。

特命リサ-チ200X! NTV系 四国地区5月27日放送
File No.0572 ハイテク航空機墜落原因を調査せよ!

エアバスA320 1988年6月26日 墜落事故
フランス運輸省事故調査委員会の報告
機長による人為的ミス
  高度計のチェックを忘れた
  コンピュ-タ-の警告音を無視した。

なぜ初歩的ミスをしたのか? 注意さえしていれば防げたのではないか?

常磐大学人間科学部 正田 亘教授
「人間がいくら注意をしていても人為的ミスを100%なくすことは出来ません。人為的ミスを当事者の責任問題で片づけてしまうからです。」
「問題解決のためには、当事者の責任問題を切り離して、なぜミスが起きたのかその原因を追及することが重要です。その原因が人間に関わる場合をヒュ-マンエラ-とよびます。」
ヒュ-マンエラ-には2つのタイプがあります。それは、ミステイクとスリップです。」

ミステイク
人間が何か動作を行う時通常
認知→判断→動作
の3つの経過をたどる。
ミステイクは、認知→判断の段階で起こるエラ-のことである。
事例
冷や奴に間違ってソ-スをかけてしまった。
自宅では透明の赤い口の瓶に入っているしょうゆを使っていた。
他の場所で透明の赤い口の瓶を見たとき「これはしょう油だろう」と思った。
人は素早い判断を行うとき経験や知識によって判断し行動する。
予測が間違っていた場合の判断ミスがミステイク。
ミステイクは自分の知識や経験にもとずいているため納得感があり思いこんだら自分では間違いに気づきにくい。

スリップ
動作の段階で発生するエラ-
事例
髪のカ-ラをはずしている時、電話が鳴り、カ-ラをとるのを忘れた。
カ-ラを巻くのが日課になっている。
カ-ラを巻いてはずす一連の動作=身体が覚えた状態
無意識に行っていた。
身体が覚えた一連の動作→ほとんど記憶されていない→何らかのきっかけで中断→残りの動作を忘れてしまう
何らかのきっかけによって中断してしまうミスがスリップ

認知、判断の段階で発生する  ミステイク
動作の段階で発生する     スリップ
どちらも自分で間違いに気づくことはむずかしい。ということです。

ヒュ-マンエラ-を引き起こした航空機事故に関して、ボ-イング社が1990~1999年まで発生した世界の航空機事故の原因をまとめたデ-タ 10年間で135件発生した航空機事故のうち91件 67%が人為的ミスによる事故であると判明した。このデ-タをみるかぎり故障などハ-ド面のトラブルに比べてパイロットによるヒュ-マンエラ−が圧倒的に多いのである。ハイテクを駆使した航空機、安全性は人間の手にゆだねられている。

ヒュ-マンエラ-防止対策

常磐大学人間科学部 正田 亘教授
「航空機を最も多く保有しているアメリカではCRMを重点的に行っています。」
C rew (乗務員)
R esource (人材)
M anagement (管理)
ヒュ-マンエラ-の分析をフライトでも行い事故を未然に防ぐ対策

CRM1 パイロットからの情報収集
パイロットはヒヤッとした瞬間や大事故につながりそうだった経験があるという。自分責任や能力のなさを責められる心配から積極的に会社に報告することはなかった。ヒュ-マンエラ-を責任問題から切り離し小さなミスでも報告するよう義務付けている。体験談を集めて分析、事故を防ぐ対策が行われている。

CRM2 コクピット内の連携プレイの強化
機長と副機長の間には厳しい上下関係があった。機長が犯したヒュ-マンエラ-を副機長は指摘することができなかった。お互いのミスに気付き指摘するという訓練がフライトシュミレ-タ-で行われている。

技術面が向上した現代、事故の鍵を握るのは人間


番組の一部を文字にしましたが、やっぱり映像の方がわかりやすいですね。


「機長のマネジメント」村上 斎藤 産能大学出版部 には更に詳しくCRM、セルフ・マネジメントなどが載っています。
またヒュ-マン・エラ-に関しては、「ヒュ-マン・エラ-」 海保博之、田辺文也  新曜社 1996
が詳しいです。

注意していると目に付くもので
朝日新聞5月31日 科学の欄 医療ミス防止 航空機に学ぶ が載っていました。
「コックピットと手術室の人間関係がよく似ていて医師にはよくわかるようだ」
「CRMを単純に仲良くすればいいと勘違いする人がいる。リ-ダ-は一定の権威を持ってチ-ムを引っぱり決断しなければならない」
JAS 福井邦彦 機長

CRMをどのように医療にあうようにアレンジし導入していけばいいのでしょうか?


ハインリッヒの法則


1:29:300
この比率は「同じ人間の起こした同じ種類の330件の災害のうち、300件は無傷で29件は軽い障害を伴い、
1件は重い障害を伴っている」

更に「障害を伴うにせよ伴わないにせよ、すべての災害のしたにおそらく数千に達すると思われるだけの不完全行動と不完全状態が存在する」
という法則です。

簡単に言いますと、ミスによって
1件の患者の死亡事故、および重度の障害が残る事故
29件の軽い障害が残る事故
300件の障害は残らなかった事故
数千の事故には至らなかった
が事故につながりそうになった事例(インシデント)があるということです。

数値の比率は個人の資質、仕事の量、内容などによりこの通りではないと思いますが
事故の割り合いはインシデントの部分が圧倒的に多いピラミッド型になります。

しかし、このピラミッド型ですが、その一部分は誰も気づかなかった事故、インシデントが含まれます。
間違っていても誰も気づかなかった。

つまり、点滴を間違ってしていても誰も気づかなかった。そしておかしいとも思わず埋没してしまったと言う事例も実際にはあるでしょう。この部分を可視にすることも意味のあることだと思います。


フェイズ


大脳の意識レベルのことですが
脳外科などで意識レベルをチェックしますがフェイズはちょっと違います。

フェイズ 意識の状態 注意の作用 生理的状態 誤操作比率
 0 無意識、失神 ゼロ 睡眠、脳発作  
 1 意識ボケ 不注意 疲労、単調、 10分の1以上
 2 正常-リラックス 心の内方へ 休息、定常作業時 100~10万分の1
 3 正常-クリア 前向き 積極活動時 100万分の1
 4 過緊張 1点に固執 パニック状態 10分の1以上
林喜男 著 「人間信頼性工学-人間エラ-の防止技術」 海文堂 p.83  より

誤動作比率はフェイズ1なら10回作業すると1回以上ミスするというものです。
夜遊び疲れのあとの勤務はフェイズ1になるかもしれませんね。
さてフェイズ4ですがここが普通の(病院で使う)意識レベルとは違うところです。
これは、パニック時です。
地震が起こり、慌ててまくらを抱いてはだしで逃げ出したなんて話を聞きますが、看護の現場でもパニックになる時がたびたびあると思います。
ちなみにフェイズ3は勤務中の2~3時間しかないらしいですが
もしパニックになるとその判断力の低下から2次的事故を引き起こすことが考えられます。パニックにならないようにするのには、訓練が大切です。 火災の時の避難訓練、病院では救急時のトレ-ニングをしたりします。それでもパニックになります。パニックになった時は、少し時間をおく(できれば) 。 他の看護師を呼ぶなど方法があります。

パニックについて


仕事をしていてどのようなときに焦りますか? 時間配分がうまくできない。次から次への訴え、患者の急変、予期せぬ出来事、など時間が押し迫っている。予定のところが進んでいない。
どんなときに混乱しますか? 医師の指示が変わった。いっぺんにたくさんのことを言われた。
パニックになった時、どうしますか? 
随分前にOP室の配管のやり直し工事を業者が配管を笑気と酸素のパイプを間違えてつないだという事件がありました。
OP中の人はパニックだったと思います。酸素をいっているつもりが笑気をいっているのですから、自分の知識、経験からは、対処できない事だったと思います。

阪神大震災の時、想像だにしていなかったこと、電気、水道、器械 ありとあらゆるものがダメになった中においても、考え、工夫され看護された人はすばらしいと思います。
震災時の看護はまたの機会に書きたいと思います。
 あらゆる場面を想定するのは無理ですが、パニック時は
          どうしたらいいのかを考える必要があると思います。


インシデントレポ-ト


インシデント レポ-トの必要性
ハインリッヒの法則にあったように底辺を占めるのは事故になりそうになったインシデントです。その多いインシデントを集め、分析し対策をすることによってピラミッドを全体的に小さくしようというものです。そこにインシデントを集める意味があります。事故報告だけですと、事故が起こった時には、すでにたくさんの軽度の事故が発生していることになります。インシデントの時に情報を集め対応をしていくと大事故につながりにくくなります。

インシデント レポ-トは スグ書き、
            パッと出せる。 ことが必要です。
スグ書けず時間がかかると、記憶が曖昧になったり、あれっあの時どうだったかなぁ~ということになる。
パッと出さないと出せなくなってしまう。
報告の方法はいろいろあると思いますが、レポ-トが記述式の場合は、良く書けていれば、詳しい内容がよくわかり良いのですが、記入に時間がかかる。
また、詳しく書かない人は内容が不足しがち、いろいろなレベルだとデ-タ-として扱いにくい。
チェック式の場合は経時的なもの、複雑なものはわかりにくいが、ある一定のレベルで書きやすく、すぐ出せるのではないかと考えます。
3~5分で書けるのが良いのではと思います。
看護職員の看護事故に対する意識によっては、つまり意識が高ければ記述式の方が良いでしょうが、まずは、デ-タ-集めの為、書いてすぐに出すという習慣、雰囲気を作るのに、
チェック式が良いのではないかと考えます。(いろいろ意見があると思いますが)
事故報告書については、のちの分析、法的問題(訴えられた時)があるので記述方式がよいと思います。

インシデント レポ-ト(注射編) のサンプルを作ってみました。
作成の考え方ですが
◆項目、内容、施行、対処、原因の内容、その他の状況、とわけました。
◆施行は、なぜ気づいたのか? 誰が気づいたのか?
 
間違った点滴をしても誰も気づかなければ事故にもならない。
◆対処は、これからの指導に役立つと考えました。
◆複数の原因
 単一の原因だけでなく複数の原因を解りやすくしたい。
◆複数の関与した人をはっきりさせる。

 例えば与薬ミスは単発の場合はよいが、それまでのシステムの漏れでチェック をしていてくぐり抜けた場合、IVDを並べ間違えチェック漏れ、そして施行者 と複数の人が関与している場合が多い。
◆原因の内容は、後述する認知心理学手法をもちいて人間の行動のパタ-ンとして 知覚系、記憶系、判断系、運動系の4つに分類しそれ以外のその他を入れてい ます。
◆自由記載の欄をもうけました。これ以外のこととか、ヒントになることを書い てもらえればと思います。
◆発生年月日、勤務時間帯、経験年数、などは看護協会の平成7年度の調査と同 じにしました。これは、デ-タ-の共有化が可能であると考えたからです。
◆最後に、このレポ-トを出すことによって、
 ○勤務評定、査定には関係なく、事故防止のためだけに使用すること。
 ○提出することによってみんなに役立つこと。
 ○事故が生じて報告しなかった場合に罰則があり得ること。
などの旨のことを記入してあれば提出しやすくなると思う。

ここでは収まりが悪いのですが、サイズ的にはA4 1枚で書けるようにしました。

インシデント レポ-ト   (注射編)

項目

内容 

施行

対処
□点滴   □本体
□IVH   □側注
□静脈注射
□筋肉注射 
□皮下注射
□輸血 
□その他
(   ) 
□薬剤が違う
(  が   に)
□時間 日
□量       □名前が同じ
□速度      □名前が似ている
□患者の違い   □その他
□漏れ
□部位
□筋、静、動種別の違い
□ ル−トの違い
□ クランプしたまま
□ 薬剤を入れていない
□ 指示の注射をしなかった
□ 注射重複 
□ 伝票
□ 転記、処方箋
□ その他
(  ) 
□ 薬剤をミキシングする前に気づく
□患者に施行する前に気づく
□患者の施行後に気づく  事故報告書へ

誰がおこしたインシデントか?
□自分がおこした
□他の看護師が既に起こしていた
□複合

なぜ気づいたか?  
□情報とのズレ
□何となく
□チエックをしていて
□その他 ( )

誰が気づいたか?
□自分で
□他の看護師
□患者が
□その他

患者との関係
□患者が指摘
□患者は知っている
□知らない
□わからない
□その他 
□的確に出来た
□出来なかった
  サポ-ト必要
□その他
(    )

患者への説明
□患者に説明
□説明はない
□その他


原因の内容
医師 □ 医師の指示が口答
□ 医師の指示が間違っている
□ 単一の原因
□ 複合する原因がある(既に通常の場合と違う)
薬局 □ 薬局からの内容が違う



知覚系 □ 見間違い
□ 確認漏れ
□ 聞き間違い
□ 観察不十分
□ 字が見にくい
□ スペルの間違い
□ 何と何の   □ ラベル
        □ 処方箋 
□医師のオ-ダ-の違い
□薬品の並べ違い
□薬局から違う内容
□名前の記入違い


記憶系 □思い込み
□ 忘れる
□知識不足
□以前の記憶そのまま
□ カ-デックス □ 数の違い 
□ その他( )
□ メモ
□ NS間の連絡
□ 薬剤 
□ 患者名

判断系 □ デ-タ-不足
□判断ミス 
□勘違い(違った解釈)

運動系 □ 手順に従わず自分の方法
□ 転記ミス
□ 伝票の記入ミス 
□ 技術不足

その他 □ その他
□ 不可避



その他の状況
□ 疲労、体調不良
□ パニック
□ 内鬱があった
□ 早く帰りたかった
□ システムが悪い
□ 設備が悪い
□ チ-ムワ-クの問題
□ その他(   )

自由記載の欄

いつ 勤務 経験年数 当病棟経験年数
月 日 時 □日勤
□準夜
□深夜
□1年未満 
□1~3年
□3~5年
□5年以上
□1年未満
□1~3年
□3~5年
□5年以上


   

インシデント レポ-トの始まり
事故防止については航空機関係が進んでいますが、インシデント レポ-トについては NASAの中にASRS(Aviation Safety Reporting System)という機関があります。エラ-をここで一括して取り扱い、責任は問われないシステムだそうです。
ここのホ-ムペ-ジにはレポ-トの様式、CALLBACKという機関誌の中でインシデントの実際を取り扱っています。航空機なので分野は違いますが、参考になればと思います。
ASRA  Home  Page   はこちら



事故報告書などのいろいろな方法

このホ-ムぺ-ジでは、
インシデントレポ-トではチェック式
事故報告書は記述式をおすすめしていますが、理由は次の通りです。

1.インシデント レポ-トは スグ書き、
            パッと出せる。 ことが必要です。
スグ書けず時間がかかると、記憶が曖昧になったり、あれっあの時どうだったかなぁ~ということになる。
パッと出さないと出せなくなってしまう。
報告の方法はいろいろあると思いますが、レポ-トが記述式の場合は、良く書けていれば、詳しい内容がよくわかり良いのですが、記入に時間がかかる。
また、詳しく書かない人は内容が不足しがち、いろいろなレベルだとデ-タ-として扱いにくい。
チェック式の場合は経時的なもの、複雑なものはわかりにくいが、ある一定のレベルで書きやすく、すぐ出せるのではないかと考えます。
3~5分で書けるのが良いのではと思います。
看護職員の看護事故に対する意識によっては、つまり意識が高ければ記述式の方が良いでしょうが、まずは、デ-タ-集めの為、書いてすぐに出すという習慣、雰囲気を作るのに、
チェック式が良いのではないかと考えます。(いろいろ意見があると思いますが)
インシデントレポ-トは、チエック方式の方が親しみやすく、簡単に提出できるのではないかと考えました。

2.事故報告書は、更に詳しく内容を知るために記述式がよいと考えています。これに関しては、時間がかかると思います。後の法的問題が絡む可能性もあると思います。
 
いろいろな施設の各種報告書の様式および報告体制をみてみますと、
1. インシデントレポ-トと事故報告書の様式は一つの様式にし、その中でレベルとして死亡、重度の障害、患  者に実施 されなかったものというように分類しているところがあります。
2. また、ごく簡単な報告書を即刻リスクマネジャ-に提出して、後にリスクマネジャ-が聞き取り調査をし、  重要度を決め、リスクマネ-ジャ-が指導などをする施設もあるようです。
3. Occurrence Report (出来事報告書) をインシデントレポ-トに添付する方法が「リスクマネジメントと  ケアの質」阿部俊子編 メディカ出版 に記載されています。
  注:ここでのインシデントレポ-トは事故報告書
  などいろいろな方法があるようです。


看護業務サポ-トデスク
リスクマネジメントの実践の「.リスクの把握

[インシデント・アクシデントレポートの具体例]
<1> チェック式タイプのインシデント・アクシデントレポート
国立循環器病センター
<2> 記述式タイプのインシデント・アクシデントレポート
滋賀県立成人病センター
<3> チェック式と記述式の併用タイプのインシデント・アクシデントレポート
日本赤十字社医療センター

◇実際に使用されている報告基準とレポートの報告ルートの具体例
西城町国民健康保険直営西城病院、トヨタ記念病院、綾部市立病院、船橋市立医療センター

◇報告基準によって報告時期を定めている施設の具体例

それぞれがPDFファイルでダウンロ-ドできます。


東海大学医学部付属病院のホ−ムペ−ジの
医療安全対策マニュアルというところに
資料2 インシデントリポートの使用基準(PDF 150KB ) 
インシデントリポートの使用基準は、厚生労働省の医療安全ネットワ-クの共通コ-ド使用

レポ-ト、報告書をどのような様式にするかは、
1.リスクマネジャ-がどの程度まで仕事をするのか、つまり専属で出来るのか?
病棟にはいるが、専属でない。病棟と兼任でなく事故を専門でやっている場合とは仕事量も内容も異なってくると思います。 

      
2.看護師側の姿勢 
看護師側がどの程度、事故防止に対して理解しているのかによって変わってくると思います。
事故報告に対して協力的であるのならインシデントレポ-トが、情報密度の濃い記述式も良いと思います。
しかし提出率の低い施設であると、提出しやすいための工夫(ここではチエック式)が必要と思われす。

  
3.病院の姿勢
病院がどのような体制を望んでいるかによっても変わってくると思います。

  

このホ-ムペ-ジにおいてはインシデント は患者には実施されなかった場合つまり直前でストップしたもの
事故は、影響の大小によらず間違ったことなとなどを実施した場合としていますが、
この分け方が的確かどうかに対して、事故報告書など導入初期において、検討しておくべきだと考えます。
何をもって事故またはインシデントとするかを定義しておかないと統一のとれたデ-タ-収集は出来ず、またリタ-ンも難しいものになると思います。
また、何のために書くのか、何を書くのか等の意味づけも必要です。

また、インシデントレポ-トを出しやすくするためにも、事故報告書とインシデントレポ-トは、わけた方がよいと考えます。しかし、ある程度看護婦のコンセンサスもえられ、軌道に乗っている状態であれば、全て記述式という方法もいいと思います。
先に述べた、「ごく簡単な報告書を即刻リスクマネジャ-に提出」という方法もいいと思います。
後述する統一された様式が望ましいと思いますが、現状においては、各施設で決められたらよいかと思います。

いずれにしても記入に必要な相応の時間を上げなければいけないと思います。
報告体制はここでは、述べていませんが、報告書を書くことで、緊急を要するような、重度な事故の場合は、速報を入れるような報告体制が必要だと思います。

コンピュ-タ-利用の方法
リスクマネジメント支援機能を充実 看護 2001.6 vol.53 No.8
鹿児島大学付属病院では院内イントラネットを使い、インシデント・アクシデントレポ-ト、医療事故の検索
事故防止についての掲示板を活用しています。


インシデント・アクシデントレポ-ト掲示板システム


インシデントレポ-ト入力画面

リスクマネジメント支援機能を充実 看護 2001.6 vol.53 No.8 p.52より

copyなので非常に見にくい画像で申し訳ありませんが、イントラネットを使いオンラインで報告が出来るものです。
コンピュ-タ-を使用したやり方は、手軽に出来ることからレポ-トの提出がしやすくなる可能性があると思います。また分析もデ-タ-をそのまま使えるのでやりやすいと思います。
セキュリティの問題がありますが、その点も鹿児島大学付属病院では考えられているようです。

更に鹿児島大学付属病院ではインシデント・アクシデントレポ-トだけでなく、コンピュ-タ-を使ったリスクマネジメント支援システムを導入しています。詳しくは文献ご参照してください。


tanokoh's page
インシデント情報登録システムがダウンロ-ドできます。

また、医療安全対策ネットワ-ク整備事業においてインシデント事例をコ-ド化しています。


報告書の意味としては
1.情報としての意味
2.リスク感性を養うもの
3.雰囲気の改善
などがあると思います。

レポ-トを出しさえすればよい。という考えがあるのですが、
これについては、リスクを管理するのはリスクマネジャ-の仕事かも知れませんが、
リスクをリスクと認知すること、つまりリスク感性とでも言うものは、個人でもって
もらわなければいけないものだと思います。
何も考えず、レポ-トだけ出したら終わりではないと思います。
提出するだけでOKなら、提出するという意識付けは出来ますが
事故について考えるという意識付けに対しては乏しいと思います。
そのためにカンファをしてその辺の意識、分析能力の向上によって事故が防ぐことが
出来るのではないかと考えます。

また、提出しやすく、分析しやすく、必要なデ-タ-がそろっていることが必要で、
その報告書がどのように活用されるか問題と思います。
看護事故は、点滴など与薬と転倒転落が大きな割合を占めます。
日本看護協会による平成7年度の「看護上の事故調査」より1位 誤配膳、2位 注射、3位 転倒、
4位 与薬、5位転落、となっています。1位の誤配膳1124件を除いた総事例数は、3585件
2位の注射から5位の転落まで2733件であり、誤配膳を除いた全事例における、注射、与薬、転倒転落の割合は76%となります。施設によって%は、異なると思いますが、上位は、注射、与薬、転倒転落になると思われます。
割合の高い注射、与薬編と転倒転落編を詳しい様式を作ると情報収集、分析がしやすく、対策もとりやすいのではないかと考えます。

転倒、転落についての報告書は、
亀田総合病院の基準のもとで7病院(武蔵野赤十字病院、など)が使用しているとのことで、
デ-タ-の共有が可能となっているようです。
「リスクマネジメントとケアの質」阿部俊子編 メディカ出版 p.150
各施設がいろいろな様式を作りました。施設に応じたものを作ると言うことで様々なものになりましたが、いろいろな事故報告の様式が出来るとデ−タ−の共有が出来なくなるのではないかと思います。

針刺し事故においては、
エピネット日本版 を使ったエイズ拠点病院の調査などがあり、
このようなスタンダ-ドなものが出来ると病院内だけでなく、看護全体として分析していけるのではないかと思いす。
事故報告書などの関係は、まだまだ検討の余地があるのかも知れません。


事故の把握

さて、事故報告などによって情報収集をしますが、どの程度の効果があるかというと

(1) 職員が自発的に報告する(incident reporting: 効果5~30%)。
(2) 報告すべき事故のリスクを作成して、そのリスクに含まれる事故を起こした時に、自発的に報告する。(occurrence reporting: 効果40~60%)
(3) 担当者が各部門に出かけていき、前もって作成された基準に該当する症例を拾い上げてくる
(occurrence screening: 効果80~85%)

浜島信之 :リスクマネジメントの体系.医療法学(11):1-11,日本評論社、1996
医療事故 石井トク  医学書院 p.42より

100%は無理でしょうが、自主的な報告だけですと把握は難しいようです。


4月の採用でしたが新卒ではありませんでした。
病棟で点滴をするのに
先に同僚の看護師が「点滴をつめておいたからね~」と言うので
つめたくれた点滴を持って患者のところへ持っていき、
患者さんに点滴をしようと思ったら、チュ-ブ内に液が満たされてなかった。

この病院では、チャ-ブ内に液を満たさないのが、通例となっているのです。
その人が前にいた病院では、チャ-ブ内に液を満たした状態を「点滴をつめた」としていました。
新卒と違い、他院での経験があるので手技的なオリエンテ-ションは受けていなかった。
今でも前の病院のクセ(チャ-ブ内に液を満たした状態)が抜けずハットすることも。

」病棟によっても違う決まり事がたくさんあるのではないですか?
、コミュニケ-ションはむずかしい。同じ事を聞いても捉え方は人それぞれ違うことがある。
経験者だと安心していないですか?

情報の伝達



続々・実際の設計 畑村洋太郎 日刊工業新聞社 2000 p.31より

後述の 事故防止のために(組織的な取り組み)
のところと関係がありますが、事故報告、インシデントレポ-トなどの情報伝達方法は、表のようにはいろいろあります。


安全に関する組織の必要性とその内容


看護事故が注目され始め、看護事故についての委員会などを作った施設も多いと思います。今まで感染予防委員会はありましたが
さて、看護事故に関する委員会などがなぜ必要なのかというと

提案として
看護安全企画室 ( 名前はどうでもいいのですが、と言いつつ) 
事故防止委員という名前は個人的にはあまり好きな名前ではありません。本来の目的は、看護の質の向上のために、安全で安心の出来る看護を提供するということにあり、その中の一つとして事故防止があると思います。ですから看護安全企画室とかそんな名前の方がいかめしくなくて良いのではないかと思いますが。
もちろん事故防止とすれば何をしているところかよくわかりますが。
   
位置としては  看護部直下でなく看護部外とする。
        これは査定の対象外であることを明確にする為

米国の退役軍人病院は医療ミス防止のために
NASAと共同でミスの自己申告制度をつくるとのこと。
ミスなどを自発的にNASA報告し、NASAの医療専門家が分析し
再発防止法を退役軍人病院に伝える。自分の病院でないので報告しやすく、
自分の病院だけでなく、たくさんの退役軍人病院全体からの事例が集められ、
なおかつ分析しやすいと思われる。

thanks たま様  『失敗』・ドット・コム


内容としては  「事故防止の為に」で述べる、教育、環境、研究などを行う。
あり方     デ-タ-、雰囲気ともOPENであり、インシデント、事故報告をいかす
        組織自体が罰則がないこと、報告を望んでいることを明確にし
        報告を提出しやすい雰囲気を作ることが必要だと思います。
        
書類      1.インシデントレポ-ト
        2.事故報告書
       
 3.クレ-ム処理報告書



クレ-ムについて

クレ-ムは、事故とかインシデントとは異なりますが、患者及び家族からの要求などは、病院の接遇のみならず事故防止の観点から言っても必要であり、クレ-ムに対処することによって、無意味な紛争につなげないように出来る可能性があると思います。
またクレ-ムより振り返り、病院の弱点を知り、よい病院になるきっかけになるデ-タ-のひとつだと思いす。
病院もサ-ビス業ですので、クレ-ムが全くないという事はありえないと思います。
患者、家族がクレ-ムを言える場所などがなければ、(例えば企業などはお客様相談室などがある。)
何も解決のないままクレ-ムが集積し病院の評判が落ちたり、事故につながったりすることも考えられます。

クレ-ムとはなにか?
claim
(権利などを)要求する、請求する、要求、請求、主張。
ただ、 日本語でクレームという場合は complaint 不平、苦情 の方が近いようです。
ここでは、claimとしてあつかっています。

クレ-ムにどう対応するのか?
患者サイドが正しく病院側に落ち度がある場合など
謝罪し直せるところは直していく。直せないようなところであっても「ご意見ありがとうございます」等
肯定的に受け止める。

病院側に落ち度がなく、患者サイドの過剰な要求がある場合など
クレ-ム防止対策とクレ-ム対応の考え方  看護展望 vol.24 no.10 1999 p.16 によると
「ご不快な思いをさせて申し訳ありません」と、クレ-ムの原因に対して謝るのではなく、とりあえずは不快にさせていることに対して謝るのです。
とありました。いろいろな対応方法があるようです。

クレ-ムをどういかすのか?
クレ-ムに対応していくことによって。潜在的事故原因になるところをつみ取ることの出来る可能性があると思います。また適切に対応することによって、患者、家族(顧客からの)満足度が増すのではないかと思います。

クレ-ムについて更に詳しく知りたい方は、
参考: 
患者さんの怒りやクレ-ムにどう対応する? 永井則子 Expert Nurse Vol.18 No.12 2002 p.22~25
上記の参考文献の欄より
1.クレ-ム防止対策とクレ-ム対応の考え方 永井則子 看護展望 24 (10 ),p14-16 1999
2.謝罪とセラピ-効果 
永井則子 看護展望 26、p8-10 1999
3.クレ-ム対応の実際(日経文庫797) 中森、竹内 日本経済新聞社出版 1999
4.ホテルオ-クラ<橋本流>クレ-ム対応術 橋本保雄 大和出版 1998


事故防止のために(組織的な取り組み)


分け方はまだまたこなれていませんが
        

教 育
新人教育  新人教育をしますが、ぜひ事故防止についての教育をしてほしいと思います。本当は看護学校などの教育のところからしていけばよいのでしょうがそうもいきませんし。新人の時の教育は非常に大切だと思います。事故の教育をすることによって、事故がタブ-とならず、事故について前向きに考えることができるのではないかと思います。事故報告の必要性などなどちゃんと教育していくと、その人たちが中堅になったときには、教育されたようにまた、新しい人を教育していくと思います。
また、新人には新人特有の事故のパタ-ンがあります。知識不足であるとか、システムがわからないなどがあります。そのあたりの指導をすることも大切だと思います。新人オリエンテ-ション時に「事故について」の項目を入れるとか、新人に発生しがちな項目をあげ指導していく。
経年教育 経年教育ですが、何年も働いていると手順を省略したり、自分なりの方法になり、手順よりはずれたりとエラ-の形態も変わってきて経験者が陥り易いところがありますので定期的に教育する必要があります。
例えば、卒後3年したらトレ−ニングを受けるとかが必要だと思います。
  
随時の教育、啓蒙活動
(情報の共有化)
事故事例を日頃から読んだりし、事故に対する心構えを持つ。例えば月に一度、インシデントレポ-トとか事故に関する啓発的な書類を発行してそれについて各病棟で考えてみる。ヒアリハット、事故報告書を吸い上げ、そして実際に調査し、分析し少なくとも月に一回程度病院の人が見られるようなレポ-トを出す事がよいと思います。報告書によって情報を得ることが出き、また定期的にすることによって歯止めとなり、気づかされると思います。出来れば、公的文書のような堅い感じでなく、カラ-でするとか、イラストを入れてみるとか、事故はまだまだタブ-というとらえ方ですので、少しでも親しんでもらえればと思います。それ以外でも、事故が生じた時に病棟で検討する。など長期、短期などに分け要所要所での啓蒙活動をする。病棟に事故の専門者(リスクマネ-ジャ-)がいればより良いと思います。
トレ-ニング  避難訓練、CPRなどの訓練はどこでも行われているでしょうが、パニックにならない、またなったとき、どうするかというイメ-ジトレ-ニングを含め必要だと考えます。
    

環 境
看護師を取り巻くもの 勤務の状況、スタッフ間の関係、雰囲気、スタッフの人数など労務的な問題、人事異動が多いなど
物理的環境 物品の配置、間違えやすい薬品の位置、静脈注射と注入などの物品の置き方など
業務の適正化 他の医療職との業務の適正をはかる。薬剤師は調剤業務、医師は注射をすることなど法律に定められているが、現状は医師の指示の下で看護師が注射を行っている。専門職が専門業務を責任をもってすべきだと考えます。
患者の環境 転落防止とか病院、病棟の環境を整える。

研 究
全体のシステムの統一 末端の事故対策をしていても、システムがおかしければ事故の減少は難しいです。
マニュアルの改訂、システムの見直しが必要。
 
物品の改善 薬品メ-カ- 、医療物品メ-カ-、医療機器のメ-カ-への提案、協同で改善し使いやすい器械、間違えにくい操作、老眼の看護師でもわかる表示、病棟における、間違えにくい薬品の配置、など
インシデント、事故内容から分析、考察しデ-タ-の共有 事故防止で効果的なことは、過去の事例から学ぶということです。分析、考察をしますが、分析を誤ると防止にはならないことがあります。 
異業種よりまなぶ、他院の対応  医療関係は、他の業種に比べてリスクに対して遅れているようです。他の業種から事故防止、管理などが学べるのではないかと思います。 


その他
他に事故の背景にあるもの  コストの問題、患者の過剰な要求、経営者の倫理、労働環境、社会の認識、報道のあり方、個人的な心理状態、知識不足
周囲の関係すること 記録、インフォ-ムドコンセント、接遇、他部門との連携および調整、労務管理、


リスクマネジメントだともっと範囲が広いです。

インシデント レポ-トなどの分析
事故の要因を分析する以外にも
この部分で事故になるのを防ぐことができた。
と事故が生じただけでなく、このようなチェック方法、システムは事故防止に有効であるということも レポ-トより読みとり、よいチェック方法、システムを他の業務へも活かすようにしたい。



組織のあり方など


事故調査について
事故が生じたら、調査、分析ができる専門のグル-プができるだけ早く現場に行き調査することが望ましい。
事故調査する難しさ。客観性を持つを持つことの難しさ。事故を起こした人と違う病棟の人が調査をする。(身内にはどうしても甘くなりがち)

組織のあり方としては
神奈川県警、JCOなど経営体制が官僚的であるとかワンマンなところは、新しいアイデァが採用されない。失敗に関しては隠蔽若しくはその部分だけの改善。柔軟性がない。など安全に対しての考えが積極的でないと考えられる。

訴訟とインフォ-ムドコンセント、接遇

訴訟に至る場合は、いろいろな理由があるようですが、
事故原因をはっきりさせたいという、原因追求のものから
病院、看護師などの対応に不満を持ち、それに対しての処罰を求めるような
そのような訴訟に至る動機が多いと聞いている。

つまり単純に考えると、インフォ-ムドコンセントができているとか、
看護師などの対応が良いとか。事故後対応にしても誠心誠意行い。
患者側にとって納得の行くものであれば、訴訟を免れた件数も多いと思います。
訴訟逃れの為にする訳ではありませんが、よけいな争いをすると、人も時間も
お金もものすごく費やしてしまいます。

記録について

看護日誌の改ざん
訴訟などになると当然弁護士などが看護記録を調べにきます。
医師による診療録に比べわかりやすいこと、診察時だけでなく24時間記入されている事などから、
事故内容にもよるでしょうが、ものすごく指摘、チェックされるそうです。
体位変換していても記入がなければ、していないことになりかねません。
(実際に法的な事は詳しくないのであやふやですが)
自分の身を守るということもありますが、実施したこと、観察したことなどは
全て記入していくべきでしょう。
事故が生じてからの記録について
自分が有利なように記録しょうという意識がなくても自己防御的になり、少しでも良いように解釈したり、記録してしまうことも考えられます。客観的ということは難しいのですが、事故が生じてからのところでも書きましたが、自分だけでなく目撃した他の看護婦などの証言なども聞き記述していくべきだと思います。パニックなどになっていると何をしているのか全く覚えていない、時間は何時だっけと。トレ-ニングされている救急時の時は、できるんですがねぇ。


事故報告書と看護記録について
事故報告書はその性質から事故の内容背景などについて詳しく記述します。
看護記録においては、どれくらいかけているのでしょうか?
事実のみを書けばいいのですが、

医療事故に関する記載の注意点
1.医療事故に関する事実を必ず記載すること
2.患者や家族への説明を必ず記載すること
3.正確で、誤解のない表現を用い、根拠のない断定的な表現はしないこと
4.タイムリ-に記載すること
5.患者の診療に直接関係のない病院の管理業務にかかわることは記載しないこと
6.反省文、他者の批判などは書かないこと

「ヘルスケアマネジメント」中島和江 児玉安司 医学書院 2000 p.200より

法的問題について


看護事故が生じ訴訟になった時、
民事上の責任
刑事上の責任
行政上の責任
が問われます。

患者は病院と診療契約を締結していることから訴訟は、病院に対して行われている。

民事上の責任として、示談金、慰謝料など損害賠償金が支払われた場合に、いったん病院が支払い、その後に
当事者に負担を求める権利が法律上認められている。

刑事上の責任は、個人に対する責任を「業務上過失致死傷罪」として問われる。
刑法211条 「業務上必要なる注意を怠り因て人を死傷に致したる者は5年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処す 重大な過失に因り人を死傷に致したる者亦同じ」

行政上の責任
罰金刑以上の処罰を受けた場合に免許の取り消し、業務の一時停止の処分がある。

そして医療者に不法行為があった場合は、病院がその人に対して賠償を求めたりする事があるが、過去の日本においては非常にまれなことであったとのことである。
「看護事故」防止の手引き 杉谷籐子 日本看護協会出版会 1997年 P.12~18より 要約

と簡単に述べましたが、裁判以外にも示談があったり、いろいろ複雑な手続きがあります。法的な本はたくさんでていますのでそちらを参照してください。


買い物
買い物をしようとしたら、一けた違っていた。よくあることです。
気が弱いのでえ~と思いながら払ってしまい。後で海より深く後悔する。
処方箋みたら一けた違っていた よくあることですねぇ~~気が弱いので~~あっダメダメ



事故防止のために(個人的なもの)


なぜインシデント、事故報告が少ないのか?

1.事故はタブ-であるという従来の考え方(ミスをしてはいけないという考え方)

    タブ-であるので自分が悪く思われてしまうという考え。
2.勤務評定、査定にひびくという思い。
  
    ミスをすると降格とかがあるのではと思い報告をためらってしまう。
3.事故報告書を書いた人が悪者になりがち
過失の競合(下に説明) システムの欠陥(下に説明)
過失の競合 
2人以上の行為者のそれぞれの過失が重なりあって一 つの危険な結果を発生させた場合。
例えば、点滴を間違えたとする。間違えた看護婦だけでなくそれ以前 にチェックの漏れがあったりし、ミスが重なりあうこと。
 
システムの欠陥 
例えばチェック機構に問題がある場合、いくらち ゃんとチェックしても漏れが生じる。
2人以上の事故への関係がある場合は、誰かが報告をするだろうとか、
私は悪くないのにという理由で記入しないことが考えられる。
 

    
4.報告書がどう利用されるのかわからない不安。
2と似ていますが、名前が公表されるのではないか? 報告書はどう処理されるのか?

    
5.おかしな同情やかばいあい、隠ぺい
隠蔽などとんでもないと思うでしょうが、医療事故だけでなく、動燃、神奈川県警もそうですし、オ-プンに出来ないのは国民性もあるのでしょうか?

    
6.雰囲気がない
他人がミスしたのを見つけた時どうしてますか?ミスをしたと素直に言 える雰囲気がありますか?

    
7.事故を活用するという意識がない。
事故が生じてもその場をなんとかしのげば良いと思ってとまうと 御教訓が生かせない。

    
8.自分は事故をしないという過信がある。
交通事故は毎日発生していますが、自分は大丈夫という過信がありませんか?事故を起こさないから
事故の対応など考えてもしょうがない。と考えると事故がおこった時、拒否的になるのではないでしょうか?

    


事故報告書は記述式としてもう少し詳しく出来ればリスクマネ-ジャ-が情報の不足を補うように
聞き取りも必要だと思います。
事故を起こした本人は、本当の原因となるところを解っていないこともあるからです。
リスクマネ-ジャ-が全体を見れば真の原因が発見できるかも知れません。
ここで非常に基本的なことですが、なぜ事故防止をしなくちゃならないのでしょうか?
事故はアクシデントと用語のところで書きましたが
事故は偶発の災難ではないのです。(用語と矛盾していますが)
事故は法則とか原因に基づいておこるものです。
ですからデ-タ-をとり対策していくことで事故を防ぐことができると考えます。
何もしなければ勝手に事故がなくなるものではありません。

ここでは針刺し事故など看護師に影響するものについては書きませんでしたが、事故報告する際に、針刺し事故の場合は、ワクチンをするにしても内科受診をし、医師のオ-ダ-がいりますので
当然、他の看護事故に比べて、事故報告の提出率は自分の身にかかってくることだけに高いと思います。 
看護事故はどうでしょうか?

 
個人の特性について
やはり事故をおこしやすい傾向の人はいるようです。
管理職の方はスタッフ個人の特性の把握のためにいろいろなツ-ルを使われていると思います。
例えばエゴグラムなどで傾向を知ることも可能だと考えます。
エゴグラムにおいてはA(アダルト)が高い人が、思慮深く事故を起こしにくいタイプだといえると思います。

「安全性格診断システム」というのもあるようです。
正田亘 ほか:産業・組織心理学会第7回大会発表論文集-安全性格診断システムの試作とその応用(1)(2).p.68~73,1991

「安全対策の自己評価表」

左の表は、日本大学医学部付属板橋病院救命救急センタ-の林成之教授考案のもので、4M-4Eマトリックス分析法を用いての「安全対策の自己評価表」です。自己採点をするためのアンケ-ト用紙があり、その結果より自己の弱点を知るというものです。

「緊急発言 いのちへ 」柳田邦男 講談社 2001  p.189~192  より


このような性格診断を使い各個人が起こしやすい事故の傾向を知り事故に対する指導に活かしていくことも必要だと考えます。
個人の指導の具体的な方策としては、各個人のミスの形態がどのようなものであるのか?
認知心理学的な、認知、判断などの誤りにあるのか?
知識不足にあるのか?  体力不足 チ-ムワ-クのなさ
パニック耐性にあるのか? など
個人がどのような傾向を持っているのかを知り、指導していくことが必要と考えます。
ただ、不遜というか怖いと思わない。出来るつもりでいる人もいます。
他人のアドバイスを聞かない。向上意欲がない。
ほとんどの看護師は、事故を起こそうとして起こしているものではない(もちろん!)
しかし一部の人においては、存在することも事実である。教育しても、おそらく無理であろうというのがおおかたの見方です。長年生きてきた、その人の性格を変えることはなかなか難しい。看護学校では、知識、手技だけを教えるのではなく、モラルとか倫理を教えて、看護師に求められる範囲から逸脱しない人間を養成してもらいたいものだと思う。成績がよいから、合格ではなく、人間としての資質をはかることが必要ではないかと感じます。
言い過ぎでしょうか?


心理的要因

多数回、多人数によるチェック
しかし、前の人がチェックしているから大丈夫だろうとか、あの人がチェックしたから間違いないとう思いがあれば多数回であれ、多人数がチェックしたとしても間違い率は低下しない。自分がチェックする時は、その大丈夫だろうという意識を捨て確実にチェックすることが大切。

3人、違う人があることがらについてチェックするとします。
それぞれの誤動作率(間違える率)を
Aは100分の1、 Bは1000分の1、 Cが100分の1 とします。
そうすると計算上は最終的にチェックをして出てきたものは10000000分の1
(一千万分の一)しか間違いは起こらないことになります。
更に、チェックの人数を増やしていくと限りなく0に近くなる計算となります。
しかし、実際の場面においては、B、Cにおいては前の人がチェックをしているから、またCにおいてはBがきっちりしている人だから間違いないだろうと思って気がゆるんだチェックになってしまうことが考えられます。そうなるともう形式だけの3回のチェックとなり多人数、多数回のチェックの意味を持たなくなってきます。
だろうと思うことをやめ確実に自分の仕事することです。
チェックが散漫になる原因に他にも考えられます。

それを日常化させないために、日頃からの教育が必要ですし、集中し仕事を行う環境「おかしい」気づくことが必要。

何となくおかしい
ふと何となくおかしいとか あれっちょっと変やなぁ~と感ずるところがあると思います。カンみたいなもので今までの経験とか、知識から感じるところが多いのではないかと考えます。事故防止のために、目、耳、鼻までも五感を働かせますが、五感以外の第六感も時としては必要ではないかと思います。インシデントレポ-トも含め、そのあいまいなところを なぜおかしいと思ったのか 不可視な部分をレポ-トなどにより新しい分析ができるのではと考えています。  

脱マニュアルのすすめ

どちらの施設でもマニュアルを作っているかと思います。
まぁマニュアルもないと最低限の基準も満たせないですから
さて、脱マニュアルですが、立派なマニュアルがあっても役に立たないということも考えられます。
事故は予測したとおりには起こらないという特徴があります。つまり考えられないところから事故が生じます。マニュアルに載っていない事故にはどう対処しますか?
結局は自分で考え、工夫し、行動し、自分で対処していくしかないのです。
マニュアルは決して万能ではありませんし、事故をゼロにできるものでもありません。マニュアルのようにHOW TO ではなく自分で考えることが大切だと考えます。
マニュアルにたよりマニュアルにあることしか出来ないのでは困ります。マニュアルを越え、事故防止に役立ててほしいという意味の脱マニュアルです。

 
マニュアルについて

マニュアルとは、小冊子、便覧,案内書,手引き,とあります。
マニュアルは、作業手順だけを示したものだけではなく、看護レベルの一つ表示としてマニュアルがあると思います。
また、マニュアルは、新人教育を行うためだけのものではなく。看護部全員の最低限のレベル確保の意味があると思います。
しかしなかなかマニュアルを見ないです。じゃどうすれば見やすく、見たくなるマニュアルになるのか?
さらに、定期的な技術チェックが必要ではないかと考えます。

マニュアルは、それをやってさえいれば良いというものではなく、自分の技術の理解がないと、つまりなぜその方法を行うかという意味が分かっていないとおろそかになったり、JCOの事故のように、結果的にそれをすればよいと言うことになり
手抜きをしたりする。(意味を理解しておらず、こちらの方法が簡単に出来るからと意味も分からず安易な方法を選びがち)
また、意味を知らないので、予期せぬ事が生じたときに
対処できないことがあると思われる。
マニュアルにおける必要性として、このような危険性があるからこの方法でする。と記述されたマニュアルが必要なのではないかと考えます。
Evidence Based ~と よく言われていますが、根拠に基づいたものでなければ、ただの手順書に終わってしまうのではないかと思います。

どのようなマニュアルが良いのか?
●図、カラ-を使って見やすいもの。
●手順の意味付けがあること、なぜこのような方法をするのか、それをしないとどうなるのか
●その他、マニュアルの置き場所など

このような活用できるマニュアルと定期的なマニュアルが守られているか技術チェックが必要と思われる。
一度病棟などで、仕事をし始めると他の看護師の手技を見ることもなく、またチェックをしてくれる人もあまりいないと思う。安全を維持するのは人の力なんですね。

といっているわりにはこのペ-ジは、図もなく字ばかりで読む気をそぎますよネ。

JCOの事故と個人の意識の問題
事故当初作業をしていたのは原子力の専門知識を得た人が行っているのかと思っていました。
作業員は臨界についての知識もない程度だったそうです。
怖さを知らないこの方法を間違えるととんでもないことになるという意識がない。
わたしたちの現場でも危うい場面が多い。注射一つにしても怖さを知らないと何も考えず
"注入すればいい"と思ってしまうととんでもないことになってしまうと思います。


リスクマネ-ジャ-


リスクマネ-ジャ-をどうとらえられているでしょうか?
このペ-ジにおいてリスクマネジメント全体を述べたものでないという事を書きましたが、
アメリカにおけるリスクマネ-ジャ-は、情報収集から分析、啓蒙活動などが全てではなく、
被害者などとの交渉という部分もはいって来るようです。

米国の病院のリスクマネジャ-の役割
1.リスクの同定や分析
2.損失予防活動や教育
3.訴訟対策
4.医事紛争のクレ-ム マネジメントや苦情処理
5.リスクマネジメントに関するコンサルテ-ション
6.病院の監督機関への報告
7.医師賠償責任保険や病院保険などの購入
「ヘルスケア リスクマネジメント」中島和江 児玉安司 医学書院 2000  p.75より

のように非常に幅の広いものです。更に

「事故を起こした側は、自分はこんなに謝っているのに、なぜ、被害者は怒っているのだと、自分が加害者でありながら、被害者意識になることがよくあります。その理由は、加害者は被害者の立場に立とうとしないからです。リスクマネ-ジャ-が最初にやるべき事は、被害者の心に入り込むこと、つまり、完全に被害者の立場に立つことなのです。そこから交渉が始まる。病院側のリスクマネジャ-であっても、被害者の側に立つことが必要です。被害者の心を掴んだらトラブルはすでに解決したも同然なのです。」
田中辰巳  危機管理コンサルタント 株式会社リスクヘッジ代表 の言葉
医療事故 油井香代子 双葉社 2000 p.85より 

のように交渉術まで習得しなければいけないようです。

日本におけるリスクマネジャ-としては、
リスクマネジャ-の任務は、以下のとおりとする。
ア.各職場における医療事故の原因及び防止方法並びに医療体制の改善方法についての検討及び提言
イ.ヒアリ・ハット体験報告の内容の分析及び報告書への必要事項の記入
ウ.委員会において決定した事故防止及び安全対策に関する事項の所属職員への周知徹底、その他委員会及び部会との連絡調整
エ.職員に対するヒアリ・ハット体験報告の積極的な提出の励行
オ.その他医療事故の防止に関する必要事項
「リスクマネ-ジメントマニュアル作成指針」 リスクマネ-ジメントスタンダ-ドマニュアル作成委員会 2000 より

また
看護管理者のためのリスクマネジメントガイドラインより
活動と役割
1)医療事故に関する情報収集・分析・対応
 (1) 事故の情報収集と分析を行い、マニュアルの見直しをする。
 (2) 集計分析した情報を、匿名性やプライバシ-を保証した上で、情報の共有化を図り、日常の看護に生かす。必要時、組織の委員会を通して、関係部門にも情報を伝え事故防止を徹底する。
 (3) 事故防止対策が実行されているか定期的に評価する。
 (4) リスクマネジメントに関する教育・指導を行う。
2)事故発生時の対応
 (1) 事故が発生した場合、当該部署の責任者(婦長及び主任)が現場での事実確認や対策の検討を行う。他にリスクマネジメント委員会を代表するもの(リスクマネジメントに関する専門的な教育・訓練を受けた担当者がいる場合にはその担当者)が現場での事実確認や対策等の検討を行う。
 (2) 事故が病院としての対応を必要とする場合、看護部長は院長、事務部長などと検討を行い、必要に応じて病院リスクマネジメント委員会を開催してもらうように要請し、速やかに対処方法を検討する。
看護部内のリスクマネジメント委員会の構成と役割(案)
「組織で取り組む看護事故-看護管理者のためのリスクマネジメントガイドライン」日本看護協会 より

とありアメリカと日本では、役割は随分異なるようです。
危機管理から安全管理へ 寺崎仁 病院59巻2号2000年2月 によると
(「リスクマネ-ジャ」あるいは「リスクマネジメントナ-ス」という呼び方は)おそらく欧米では、業務の内容と職名が一致せずに誤解を受けてしまう呼称であると思われる。医療事故を防ぐための責任者は、正しくは、QAナ-ス(quality assurance nurse)と呼ばれているものである。

引用ばかりになってしまいました。まとまりのない私見を二つ、三つ

可能ならばリスクマネ-ジャ- が当事者より聞き取り調査をし、情報の整理、本人には見えない背景の有無を探る。また、複数の人に要因がある場合には、各自の報告書のみでは客観性に欠ける場合も考えられるため、例えば、食い違いとか主観的なものがあると正確な情報とならない可能性があるので、リスクマネ-ジャ-が個々より聞き取り調査をしまとめることがよいと考える。
聞き取り調査と言っても経過だけではなく当事者がどう判断したかと言うことが大切であり、後の役に立つと思う。
必要ならば本人の心的外傷へのサポ-トの段取りもおこなえればと思います。
同時に被害者側のサポ-トも必須で、過失の程度を問わず速やかに患者側を一度訪問しておくべきだと思う。

日本型では、看護婦がコ-ディネ-タ-という形を取ることが好ましいのではないかと考えます。各職種間等の調査をしやすいと思う。
しかし、アメリカ型リスクマネジメントを取り入れようとする場合、交渉、保険、損失など法的、経済的観点から見ていかなければならずそれらの専門教育を受けていなければ出来ないと思われるます。
いずれにしても片手間に出来るものではなく、専門的な知識を持ってしなければ効果は上がらないものであり、リスクマネ-ジャ-には、教育は必須だと思います。

リスクマネ-ジャ- は、病棟専属よりもフリ-な立場で各病棟を回れることが必要。自分の病棟の常識は、他の病棟では違う方法だったとか、病棟が別、つまり行っていることが違う組織である場合、相互間の病棟での知識であるとか、方法の共有が難しい場合がある。例えば物品の置き方一つにしても各病棟異なるものである。こういう風なものを統一することによって、勤務交代したときにも間違いが少なくてよいではないか。つまりリスクを総括的にみられるかどうか? 
また、感染委員会など他の委員会、及び他の職種との関係の調整も重要なことの1つだと考える。

ヒアリハットのような情報を待つというだけでなく、リスクマネ-ジャ-がいればそれの分析だけでなく積極的な事故要因の調査が可能である。病棟などに行き調査する。病棟間での異なった決まり事、事故の可能性になるような、そのようなことは全体を見渡せる専門のリスクマネ-ジャ-でないとなかなか見えないと思う。
指導方法について直属の上司、師長に指導を受けるのとリスクマネ-ジャ-に指導を受けるのとでは意味も異なると思います。

事実を知るという事



事故報告書などにおいて、客観性というのはやはり難しいようで、個人の性格などにもよりますが、事故の内容を多少矮小化したり、落ち度?を少なく見積って書くようです。実際に現場を見たときと、記入されたものとは違うことがあります。人間の本質なのでしょう。責任を追及するものではありません。事実が事実として伝わらなければその根元となるところが見えないことがあると思います。そこで、事実をはっきりさせるためには、やはりリスクマネ-ジャ-のような専門の人が、聞き取りなどの調査が必要だと思います。当事者だけでなく、事実のために他の人からの情報収集も必要だと思います。またリスクマネ-ジャ-も人間ですので友人などになると、これも同様に感情などにより事実が見えなくなる可能性もあると思います。しがらみにとらわれない人がいいと思いますが、くどいですが、責任を追及するものではなく、事実を知るということです。事実でないとのちにいかす事が難しいと考えるからです。

看護判断の差


IVH、点滴などが何らかの原因で、ストップする事はしばしばあるトラブルだと思います。
対処はどのようにされていますでしょうか? 
点滴が詰まったことによってストップした場合に生食、ヘパリン生食などを三方活栓などから注入し、詰まりを取り除き点滴を再び通過させる方法があります。
(この行為を看護師がして良いかどうかは、疑問ですが)
凝血と思われる詰まりを悪くいえば凝血を吹き飛ばしてしまう。
そして、そのとんだ凝血などは、肺などで栓塞となる可能性があります。
随分危険な行為だと思います。

ストップした時どうするか? という判断を聞きますと人によって随分違うようです。
(100人とか多人数に聞いたわけではありませんが)
凝血などでストップした場合は、
●医師を呼びブジ-をしてもらう。
●詰まった分数に応じて、詰まってすぐならフラッシュをする。
●時間がわからなくてもフラッシュをする。(実際詰まってからの時間が解らないときがあると思います。)
●注射器で生食などを軽く押してみて、通過すればよいが通過しないと医師を呼ぶ。など

と判断は、いろいろなようです。
このいろいろな判断で、危険度は随分変わって来るのではないかと思います。
どのような方法がベストなのかという提案ではありません。
一つのひょっとすると大きな障害を残す可能性もある行動も看護師によって様々であるという事が問題だと思います。大丈夫と思っていても、症状にでないだけで微細な血管に吹き飛ばされた凝血などで梗塞を起こしていることも考えられると思います。
ここでは、点滴が詰まった事を一つの例としてあげましたが、他にも様々な看護判断の場があり、その都度判断をしておこなっていると思います。

なぜ様々な判断になるのか?  このへんの判断というのは、まずマニュアルには書かれていないことです。
マニュアルには、点滴の方法は書かれていても、何かあった場合の対処方法まで記述したものは、ないと思います。
ところが実際の仕事においてマニュアル外の非常に困った事というのは、多いものだと思います。
どうしますか? 先輩から聞いてその方法をしているとかの、口伝えの伝承になっているのではないでしようか?  そのような情報をわけもつ機会がないというのが、問題だと思います。

注:いくつかの病院では、圧をかけて体内に注入する方法は禁忌であり、点滴をつまらせない予防がマニュアル化されているところもあるようです。




雰囲気について


雰囲気とはまた抽象的でとらえどころがない感じですが

事故対策について今までのインシデント、事故を検討し対策していくことは一番効果的な方法だと思いますが
※ 自分のミスを情報として提供することが出来るか?
※ 他人のミスを出すことが出来るか?
(他人のミスを出すと、チクリになってしまい、対人関係が悪くなる)
おかしいなぁ~と思っていたけどその疑問を口に出す雰囲気があるでしょうか?
そのまま いそがしさでまぁいいやという適当な考え

というところが引っ掛かってきますが
※ 人間はミスをするものであるという認識
※ あなたが起こしたミスをみんなで共有することができれば 
    みんなの役に立ち、以後におこる事故防ぐことが出来るかも知れない。
※ 同じように他人の分も役に立つ
とう考えはどうでしょうか?

じゃどうすればいいのかというと
※ インシデント事故報告書は個人の処分はないことをはっきりさせておく
※ 教育、研究 参照   みんなで話し合いをしていく
  インシデント、事故報告書をだしにくいのは
◯自分の評価がさがるのではないか?
◯報告書がどのように処理されるのか?
などがあげられます。
疑問を口に出せることができるでしょうか?
こんなことを聞くとバカにされないだろうか? とかはないでしょうか?
なかなか意識を変えていくのは難しいと思いますが
少しずつでもやっていくと、インシデントを出さない人でも回りが出していると出すようになるかも知れません。
得体が知れないけど、雰囲気というのは大切です。
のちにサポ-トがでてきますが、そちらでも雰囲気は同様に大切だと感じます。
お互いに自由にものが言うことが出来、したことに対して他のスタッフが相互間でチェックできるようになればよいと思います。
みんなで議論をしていくことによって、タブ-を減らし、雰囲気をよくしていくことができるのではないかと思います。

インシデントをまずみんなが100%提出することを望まないことです。
疲れます! それにねばならないと言う考えは止めた方がいいです。
目標を、<看護事故 0>にしょうなんてあげてしまうと
無理ですし、0 にするために報告しなくなるのが関の山です。
ウチの病棟が報告したばっかりにゼロにならなかった。とか
逆にウチの方が、今月はこんなにインシデントがあったんだぞ! とか
「ヒアリハットを100 提出」とした方が、力が抜けてスム-ズにいくかも知れません。


分析の方法


よく述べられている方法としては次のような方法があります。
SHELモデル


S ソフトウェア
H ハ-ドウェア
E 環境
L 他人
L 当事者


中心のL(当事者)との関係、L-S(ソフトウェア)、L-H(ハ-ドウェア)、L-E(環境)、L-L(他人) の関係を分析する。
KLMオランダ航空が開発したツ-ルです。
SHELモデルの各間の辺縁は、一致した直線ではなくギザギザになっています。

また、m-SHELと言うのもあるようで、このmは、管理だそうです。

4M-4Eマリックス

4M  MAN(人間)  MACINE(物、機械) MEDIA(環境) MANAGEMENT(管理)

4E EDUCATION(教育、訓練)  ENGINIEERING(技術、工学)  
  ENFORCEMENT(強化、徹底)  EXAMPLE(模範、事例)


1.Education 知識、技術、意識、管理…
2.Engineering 機器の改善、表示、警報、多重化、使用材変更…
3.Enforcement 規程化、手順の設定、注意喚起、キャンペ-ン…
4.Example 模範を示す、事例紹介…

対策立案のための4E

MAN(人間=作業当事者) a.身体的状況
b.心理的・精神的状況
c.技量
d.知識
MACHINE(設備・機械・器具) a.強度
b.機能
c.配置
d.品質
MEDIA(環境) a.自然環境-気象、地形
b.人工環境-施設、設備
c.マニュアル、チェックリスト
d.労働条件、勤務時間
MANAGEMENT(管理) a.組織
b.管理規定
c.作業計画
d.教育・訓練方法

4Mによる事故要因分析
「緊急発言 いのちへ 」 柳田邦男 講談社 2001 p.58より引用


  MAN MACINE MEDIA MANAGEMENT
具体的要因        
EDUCATION        
ENGINIEERING        
ENFORCEMENT        
EXAMPLE        

上記のようなマトリックで分析をしていきます。

ものすごくよく考えられています。ただ、本来は航空機事故に対応するものであるためのものであり、対象が人間である
医療事故の場合とは少し異なるところがあるのではないかと考えます。例えば、他のところで出てきますが、患者自身が事故を防ぐことが出来る可能性があることです。SHELモデルなら他人のところ、4M-4Hなら環境、訓練に該当させれるかも知れませんが、しっくりしません。取るに足らないところかも知れませんが…

と書きましたら
「看護と医療事故」石井トク 医学書院 2001.11 p.117より
c.臨床的6M-4Eマトリックス法分析法
 
(この4Eは5Eの誤植と思いますが)
  L-H
機械類
L-S1
看護手順
L-S2
労働条件
L-L1
看護婦の連携
L-L2
医師との
連携
L-L3
薬剤・検査
Education
臨床教育
           
Engineering
知識・技術
           
Enforcement
体制・手順
           
Example
事故事例学習
           
Ethics
職業倫理
           

臨床的6M-5Eマトリックス表

臨床により適応されるように考えられたものがあります。
詳しくは、本を参照してください。

実際に分析しようと思うとなかなか出来ないのですが、具体的にどのように分析すればよいのか?については、
月刊ナ-シング 医療事故マニュアル Vol.20 No.5 2000 p.21に
同じ事例で4M-4EマトリックスとSHELモデルでの分析例があります。
詳細な分析は、「緊急発言 いのちへ 」 柳田邦男 講談社 2001
4M-4Eマトリックスを使った東海大学付属病院の薬剤誤注入事故の分析が非常に詳しいです。   


Root Cause Analysis

Root Cause Analysis (根本的原因分析)と言うものもあります。
Root Cause Analysisとは、「医療機関のシステムや診療のプロセスに焦点を当てた事故分析」
◎徹底した分析
・直接原因を明らかにすること
・事故の背景にあるシステムやプロセスをよく知っている指導的立場の医療専門職によってなされること
・アクションプランにつながるような分析であること
・改善に関する評価方法も検討すること
◎信頼のおける分析
・分析は事故の起こった現場やプロセスをよく知っている指導的立場の医療専門職によってなされること
・分析が一貫していること
・分析に科学的知見が考慮されていること
Root Cause Analysis における必要事項

「ヘルスケア リスクマネジメント」中島和江 児玉安司 医学書院 2000  p.81より


認知心理学手法

看護事故の中で関係が多いのではないかと思われる、人間の心理、行動の分析方法ですが、
この方法は認知心理学手法を用いて、人間のパタ-ンとして4つに分類しています。
  分析方法 (インシデントレポ-トのチエックリストより)
知覚系 □見間違い
□確認漏れ
□聞き間違い
□観察不十分
記憶系 □思い込み
□忘れる
□知識不足
□以前の記憶そのまま
判断系 □勘違い(違った解釈)
□デ-タ-不足
運動系 □手順にしたがわず自分の方法
□転記ミス
□伝票の記入ミス
□技術不足

 



その他 □その他
□不可避
その他の状況、関連すること □疲労、体調不良
□パニック
□チ-ムワ-クの問題

 

知覚系、記憶系、判断系、運動系という4つの誤りの分類については
鹿内清三 「医療紛争の防止と対応策-病院のリスクマネ-ジメント-」第八 事故原因論、第一法規 1994 より

認知心理学について
見たり(知覚)覚えたり(記憶)考えたり(思考)する事を認知的行動といいます。
ここでは認知的行動のどの部分でどのようなミスが起こるのかと言うことで分けてみました。
SHELモデルは全体を指しますが、認知心理学は当事者のところの分析に使用しています。他にも分類方法があります。たとえば発生要因12のパタ-ンとかです。
認知的行動で項目を作ってみました。各系に分かれているので解りやすいのではないかと思います。また将来的にデ-タ-ベ-スの統一をするならば分析方法もなにを使って分析するのか統一した方がよいと思います。

その他として不可避という項目をもうけました。これは看護はベストを尽くしたが事故が生じてしまったと言うこともあると思います。
関連することとして、個人の疲労、体調もいれました。
インシデント レポ-トのサンプルを参照してください。


安全管理の方法


日本ヒュ-マンファクタ-研究所所長の黒田勲氏(元早稲田大学人間科学部教授)は、産業界における安全管理の理論と実践法を次のように大きく西洋流と日本流に分けて、その得失を論じている。

(1)安全管理の理論=西洋流
・ハインリッヒの法則
・4M-4Eマトリックス分析法
・SHELモデル分析法
・FMFA(欠陥影響の事前評価)
・FTA(欠陥樹木分析法)
・ETA(エラ-樹木分析法)
・MORT(管理の欠陥-樹木分析法)
・HAZOP(潜在危険性のオペラビリティ・スタディ)

(1)安全管理の実践法=日本流
・指差呼称(指差称呼)
・5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)
・KYT(危険予知の感応性訓練)
・自主保全(オペレ−タ−自身も行なう設備保全)
・ヒヤリ・ハット運動
・小集団活動
・提案制度
・人材教育

「緊急発言 いのちへ 」 柳田邦男 講談社 2001 p.214~215より引用

このように 欧米で開発されたものは、科学的、理論的
日本流は、実践的だそうです。
事故防止は、理論も実践も必要です。他にもQC活動、接遇なども組み合わせることによって、よりよい事故防止が考えられると思います。
 


医療機器の改善について

これは、輸液ポンプのディスプレィの部分の画像です。
(この輸液ポンプは、旧型であることをお断りしておきます。しかし、使われている施設は多いと思います。)
ポンプにおいての問題点は、いろいろあげられますが、ここでは、誤認しやすい器械を取り扱ってみます。
輸液ポンプ全体に関しては、
(JJNスペシャル 70 注射・点滴エラ-防止 編集川村治子 医学書院 2001.12)
が詳しいですので、ぜひ参照してください。

ディスプレィの下段の "流量"62ml/h とありますが "設定切換"の黄色のボタンを押すと
"予定量"○○○ml と表示が切り替わります。
ボタンを押すことによって、"流量"と"予定量"のどちらかが表示されるということです。
そこで間違えやすいのが、設定の際に"流量"に予定の量を入力してしまい。逆に"予定量"に流量を入力することがあります。
例としては、流量に500 ml/h と入力し、予定量に62 ml としてしまうことがあるということです。
この事例をたくさんの方が経験し、恐ろしいこともご存じだと思います。

それでも、間違いが生じます。人間の認知、判断から考えると、間違いやすいディスプレイではないかと思います。
人間の認知、判断などには、限界がありますのでそれを補い、間違えないような器械が望ましいと思います。
つまり人をサポ-トできる器械が望ましいと思います。

つまりこれらは、ユ-ザビリティに欠ける間違いやすい器械といえると思います。誤認しやすいんです。
ちなみにメ-カ-の名誉のために、この商品は欠陥品ではありませんし、このメ-カ-は、安全対策に取り組んでおり新しい製品に対しては、見やすいように改善しているそうです。

人間の能力には限界があることは、わかりますが、フ-ルプル-フという言葉があります。
これも他の製造業などの産業からの言葉のようですが、誰でも間違えなくできるというものです。
わかりやすいところでは、以前に点滴ラインの三方活栓から間違って牛乳を入れてしまったという例がありました。点滴ラインも口腔からの注入もラインの経が同じならば間違って接続してしまう可能性があるわけですが、現在においては、ラインを違うものにして物理的にチュ-ブの経、三方活栓を異なるものとして接続できないようにしています。

これ以外にも様々な医療機器、物品があります。少しでも安全に使えるように、現場からの要望をもっとメ-カ-に言ってもいいのではないでしょうか?
工学系の人がこれはいいと思っていっても、実際使う看護師は、使いにくいと言うことがあるかもしれません。





血圧計です。よく見ないとわからないのですが、
プリントアウトされる文字が逆さまに出てくるんです。
最初からこうだったのかどうかわかりませんが、
見にくいものです。


ヒュ-マン エラ−による分類


skill-based malfunction Double-capture slips
技術レベルの誤り Omission associated with interruptions
Reduced intentionality
Perceptual confusions
Blends and spoonerisms
rule-based malfunction First exceptions
ル-ルレベルの誤り Sings,countersigns,and nonsigns
Informational overload
Rule strength
Redundancy
Rigidity
Encoding deficiencies
Action deficiencies
knowledge-based malfunction Selectivity
知識レベルの誤り Workspace limitations
Out of sight,out of mind
Confirmation bias
Overconfidence
Biased reviewing
Problems with causality (hindsight bias)
Problems with complexity

rasmussenの基本行動様式による分類

「ヘルスケア リスクマネジメント」中島和江 児玉安司 医学書院 2000 p.32~38 項目のみ抜粋 詳しくは、本を参照してください。


認知心理学より 外化

指差確認という言葉をご存じでしょうか?
鉄道などで信号を指さし「進行-!」と言っているあれです。
外化(げかではない)というのは、人間が記憶する量と質には限りがあるので
それを克服しようとすることです。
メモをするということがありますが、これも一つの「外化」です。
外化の方法としては
○口に出す
○体を動かしてみる
○書いてみる
があります。

指差確認 リ-ドバック
一人で呼称していてもほとんど効果はない。
2人で薬品名、量など一人が物品の名前などを読む
確認したもう一人がそれを復唱する。リ-ドバックと言いますが
そのような方法が効果的です。
例えば点滴のチェックをする場合、一人で伝票とボトルのチェックをするよりも
二人で、そして一人が伝票の点滴の名前を読み上げていき、もうひとりがチェックをするという方法の方がまちがえにくいようです。この時チェックする側も声を出し読みあげる人に確認してもらうことが必要だと思います。

単方向と双方向
確認の場合、上記もそうですが、双方向の確認が必要です。
これは、一人による思い込みが複数人でチェックすると防ぎ得る可能性が高いという事です。
単方向の場合、口に出して行ってることと、物品の名前が違うときでもそのまま通過していくことがあります。全ての場合に双方向のチェックは難しいと思いますが。

内容を口に出し、他のものがチェックすることによって
前者の思い込みを防ぐことが出来るからです。
この方法はいろいろな場面に応用できると思います。
また 書いてみる という事についてはチェックリストやマニュアルの形にすることが外化です。




評価の方法


事故防止がうまくいっているかどうかの評価をしなければなりません。事故、インシデント レポ-トが減少したら事故は減っているということで、効果があった。と捉えがちですが、必ずしもそうではないと思います。
事故に対する意識が減少して、提出率が下がっただけかも知れません。
継続的に教育、啓蒙をしていかないと提出率は徐々に下がっていきますし、内容も薄いものになってしまうかも知れません。
見かけ上の事故の減少かどうかを見分けるのは、なかなか難しいと思いますが
それをチェックする方法としては、病棟の雰囲気、事故に対して積極的な発言があるか、患者、看護師間の関係、患者からのクレ-ム数の増減、看護師からのシステムに対しての意見、教育などがマンネリになっていないか、システムの改善、情報の共有化、など今まで述べてことがうまくいってなおかつ事故報告などが減少していれば、効果ありという評価が出来ると思います。

また同じような原因の事故が発生しているのならば、対策がされていない、若しくは分析が不適切、対策が効果的でないということになります。
継続的な教育などの必要性を他で述べましたが、継続的なチェックも必要だと思います。少しでも気を抜くと、その隙間から 意地悪く事故は生じるものだと思います。
チェックをし、事故に対するレベルが下がっていないか、ずっと見ていく必要があると思います。

「病院全体を横断的にかつ的確に行うためには、その面の専門的経験を要するため、はじめのうちは、できれば第三者機関の専門家(医療コンサルタントやISO内部監査員など) からの支援または助言を得て実施することが望ましい。」
リスクマネジメント活動推進のキ-パ-ソン 石井 政範
医療事故防止マニュアル 学習研究社 p.49

とありますように、自分たちだけでは気づかないところがありますので、そういう意味からも外部の人に評価してもらえればと思います。



家族が面会から帰ったあと
輸液ポンプがピ-ピ-と鳴っている。
行ってみると
ボトルの接合部から点滴チュ-ブが抜けている。
患者はそんなとこから抜くことも出来ず(ポンプがあるから)
他に人はいない。
う~ん 深く考えると恐ろしいのだが


業務と看護事故について


業務改善とは何でしょう?
文献をみてみますと、申し送りの短縮が多いようですが、
「100床当りの看護職員数は、アメリカ197人、ドイツ92.9人、フランス66.3人、イギリス65.4人に対し、日本は41.8人」
http://www02.so-net.ne.jp/~min-irou/990324ap.html
1999年3月24日 日本医療労働組合連合会
とこれだけを比べるわけにはいけませんが、人数的にはずいぶん少ないようです。看護の細かい業務の改善も大切ですが、もう少し大きく見てみます。

クラ-クについて
看護師が点滴の準備をしている時に、電話がなったり、ナ-スコ-ルがなったりし業務が中断することがあります。中断があると途中の仕事をどこまでしていたのか不確かとなり、事故の原因となることがあります。これ以外にも看護以外の煩雑な業務、コストを取ること、物品(文房具まで!)管理しなくてはいけません。クラ−クがいることによってケアの密度、事故の減少などをはかることが出来るのではないでしょうか? クラ-クを雇うことに経済的問題などがあります。私は算出する事はできませんが、私立病院などではクラ-クがいるので、経済的な問題はクリアするのではないかと想像していますが。

医師について
保 助 看 法の定義に診療補助と言うことがあげられています。診療補助と言っても
医師の指示に従って、点滴をするなどがあります。
大学病院などは医師が点滴をしていますが、まだ多くの病院は、看護師が点滴をしています。点滴業務をすべて医師に移管しろと言っているわけではありません。点滴をすることなどは医師の独占業務であるので代理として看護師にさせるのではなく、医師がするべきものだと考えます。
ここでチェック機構が抜けるのではないかという意見がありますが、つまり今までは医師がチェックして、次に看護師がチェックしていたところが、看護師のチェックがなくなると言うことですが。
しかし、その部分は医師同士がチェックすべきだと考えます。

薬剤師について
薬の管理についても同様で、各施設によって薬剤管理の方法は違うと思いますが、これも同様に専門職が専門のことをすべきだと考えます。つまり、ミキシングから服薬指導まで専門である薬剤師がしたほうがよいと思います。

他の職種について
採血を臨床検査技師。人工呼吸器などの組み立てメンテナンス医療機器の管理は、臨床工学士。などそれぞれ専門の人にしてもらう方がよいと思います。

人事異動について
医師は内科なら内科と専門的ですが、
看護の目指している方向も専門看護を目指している方向ではないかと思いますが、違うところへの異動が多いのではないでしようか?  専門外のところへの異動によって事故は起こりやすい状態になるのではないかと思います。また、看護師の専門性とか士気にも影響するのではないでしょうか? 


退職について
なぜ辞めていくのか? 労働条件保育施設などのインフラなどここでは触れませんが、労働環境の整備は事故防止にとても必要なことです。3年ぐらいで辞められたら、1人の人間を育てるのにどれくらいの時間と労力を使っているでしょうか?オリエンテ-ションとか病棟などの勤務場所でのトレ-ニングものすごく時間も労力もかけています。魅力ある仕事、魅力ある職場にしたいものです。
 

物品管理について
クラ-クのところでも書きましたが、文房具などの物品管理までしなくちゃいけないので、看護本来の仕事以外のところが多いですが、 これも業者が入って物品管理していたりするところがあります。   
いろんな面でコストとの兼ね合いがありますが、それらをすることによってどれだけの事故が防止できるのか? また事故による損失をどれだけ防ぐことが出来るのか?  経済的算出しなければいけないのですが、なかなか難しい。

B型肝炎針刺し事故(公務災害)ワクチンを接種した場合の必要経費
初診料、検査、注射、5回の再診などで 116270円 になるという試算があります。
「看護事故」防止の手引き  杉谷 籐子  日本看護協会出版社  p.121

ただし、改善しシステム変更した場合に、新たな問題が生ずることもあります。
例えば、採血を病棟看護師から臨床検査技師に代えた場合、臨床検査技師は患者の顔を知らないという問題がある。チェックシステムも変更すべきだと思います。業務改善に限りませんが…

かんじんの業務の改善と事故とどうつながりがあるのかと言うことですが、
1. 看護師の業務の軽減(看護業務ではない部分の)
      つまりよけいな仕事、専門職でなくても出来る仕事は他にまかせ     
      る。その方が効率的だし、看護本来の仕事に集中できる。本来の   
      仕事の密度が濃くなり、また雑多のことで看護本来のことが中断    
      されることが少なくなると事故につながりにくくなると考える。
2. 専門のところに任せる。
      医師による注射、薬剤師によるミキシングなどがそうなのですが、
      専門の人が専門のことをする。いたって当然なことだと思います。

委譲先 委譲業務 委譲済 予定
薬剤師 薬剤の分包

45.3%

5.0%

病棟での服薬指導

37.2%

9.7%

病棟配置薬の管理

32.6%

8.9%

注射薬ミキシング

15.5%

12.4%

臨床検査技師 検体容器の準備

9.7%

3.1%

採血

7.0%

5.0%

入院時ル-チン検査

3.1%

0.8%

臨床工学技士 ME機器保守管理

10.5%

5.0%

ME機器の中央化

4.7%

3.5%

理学療法士・作業療法士 病棟での運動療法

27.1%

3.9%

栄養士 栄養指導室設置

27.1%

4.3%

病棟での栄養指導

14.7%

2.7%


看護業務の他の職種への委譲状況

(株)日本医療事務センタ-「病院経営の健全化のために」NICLレポ-トNo.7:日本医療労働組合連合会(1994年11月調)
「看護サ-ビスマネジメント」江藤かをる 医学書院 p.54より

適切な看護職員数


上でも書きましたが、「100床当りの看護職員数は、アメリカ197人、ドイツ92.9人、フランス66.3人、イギリス65.4人に対し、日本は41.8人」だそうです。

「事故防止のためのすばらしいマニュアルが整備されてきましたから、マニュアルに従わずに看護職員がミスをすれば、これまで以上に当事者の責任が問われることになると思うからです。」
「どう防ぐ医療事故」 Nurse Eye 桐書房 Vol.14 No.4 2001 p.7より 
質の高い安全な看護を目指しても人員不足という足かせがある。「やらなければならないことはわかっていても、とくに休日や夜間の時間帯は人が足りなくて実践できない」(同p.6)とあり、看護職員が努力しても仕事量が多すぎて、マニュアルに従うという手順ができないというものです。マニュアルに従わず簡略化するのであればマニュアルを改訂することは全く無駄なことだと思います。人数が少ないというのは一つの要因だと思いますが、いったいどれくらいの看護の人員がいれば、妥当だと思いますか? 試算された方はいらっしゃいませんか?


新卒者の教育


一度にものすごくたくさんの数の新卒者を採用する病院があります。たくさん辞めるのでたくさん採用しないといけないのだと思いますが、その新卒者の教育にかける時間とお金はものすごいものだと思います。新人オリエンテ-ションばかりではなく、病棟に入ってからも手技的なことなどいろいろ教育をしていきます。指導者(プリセプタ-、エルダ-)は、それだけ時間を使います。
看護師が長く勤めることの出来る、勤める環境も良くなっていかないといけないと思います。
新人は新人の、ベテランにはベテランの起こしやすい要因があります。それにしても、新人におけるお金、時間以外にも病棟でのチ-ムワ-ク、混乱などいろいろあります。やっと育てた人が3年ぐらいで、「辞めます」なんて、もったいない。賃金だけで考えると新卒であるとか経験年数の低い人ばかりの方が安くすんで良いのかも知れません。しかし、逆に言うと3年ぐらいでは、新人教育に投資したものを回収していないのではないかと思います。経営者じゃないのであまり言えませんが、もう少し仕事を続けてくれたらと思いますが、 


勤務体制と事故防止


勤務体制は、2交代、3交代、変則3交代などがあります。現在2交代制度が注目を集めていますが、本当に看護師にとって良い体制なのでしょうか? 2交代における事故関係の文献もあまりないようで、調査したわけではありませんので推測にすぎないのですが、2交代による長時間勤務だと疲労感が増しフェイズのレベルが下がるのではないかと思います。つまり、ミスをしやすくなるという状態になると思います。もちろん仮眠によって疲労回復するのですが、本当に仮眠が取れるのでしょうか?取れたとしても覚醒時のぼっ~とした感じですと更にフェイズは低いように思います。2交代によると申し送りの回数が減少する事による申し送りの際の間違いが減少する。という事は頷けますが、逆に言うと、他の看護師がチェックする機会も減少することになると思います。私は、業務の効率化合理化を図ることは非常に大切なことだと考えていますが、根底に安全があっての話だと思います。
十分論議されるべきだと思いますし、コンセンサスが得られず実施してしまうと不信感が残るのではないかと思います。
また、工場などの勤務では、同じ三交代でも一週間は、夜勤。次の一週間は、日勤というようなシフトを組みます。ミスの発生率などは調べていませんが、生活のリズムはとりやすいとのことです。工場などの産業は、ノウハウがたくさんあると思います。女性が多い職場なので一概には言えませんが、検討されても良いかと思います。

「ドイツの航空医学研究所がパイロットと乗務員に対して実施したテストによると、午後1時から7時までが、知的な仕事や傾斜テ-ブルでの忍耐、そして肉体的適合性にもっとも適した時間であることが明らかにされている。」
「機長のマネジメント」村上 斎藤 産能大学出版部 p.166より
また、深夜早朝は、頭脳の活性化が低下している時間帯でもあります。
とは言っても 夜勤が無くなるわけではないですが

勤務体制などに興味のある方は、
老人看護・看護管理 Web Site の看護管理学看護管理学研究・学会活動の研究テ-マ 
Aリスクマネジメント?に
第3回 看護管理学会セミナ- があり
その一番下に"パワ-ポイントはこちら" というところからダウンロ-ド出来ます。


      




在院日数短縮


在院日数に応じて、診療報酬の加算があります。患者にとっても病院の収益にとっても良いことなので、在院日数を減少するよう努力しています。しかし、在院日数が減るということは、それだけベッドの回転数が上がるということです。(また上げなければ減収となってしまう) 
今まで年間600人見ていたところ、700人見なければいけないようになります。(数値は適当)
仕事量は、その数値以上に多くなると思います。また稼動率を上げるために他科の空きベッドに入院したり、という事もあるかと思います。
仕事量が多くなる、専門の科以外のところに入院する。ということは事故が生じやすくなる可能性があります。
またそれ以外にも、患者と看護師の関係が希薄になります。患者の顔を見ない、覚えないという事になってきます。


患者の特性による起こりやすい事故の傾向


小児
  転落(主にベッドから)
  熱傷  沐浴による
  新生児の取り違え
  新生児の指に糸が絡み壊死
  観察不十分  訴えなどが出来ないまたは少ないため見逃しやすい 
         自立していなく大人に依存的
  観察見逃し  変化が早い

老年   (老年期の特性による)
  転落転倒  感覚器の機能低下、筋力低下、睡眠パタ-ンの変化などによる
  誤飲誤嚥   義歯の有無、そしゃく、嚥下困難
  チュ-ブの抜去   理解力の低下および環境の変化への非適応など
  褥創  
  誤認  コミュニケ-ションの低下、ホスピタリズムなど

母性

精神  (疾患によって内容は異なる)
  自殺、
  離院 
  
精神科における事故の傾向


のどもとすぎれば


阪神淡路大震災で災害マニュアルを作った施設も多いと思いますが、いまでもちゃんと覚えていますでしょうか?七年もたつと忘れてしまっていることが多いのではないでしょうか

航空機事故においても何年かに一度、航空機の事故が多発する年があるようですが、
「のろわれた年」 なんて言うときがあります。
仮説らしいですが 大事故が生じてその時は対策,対応をしますが
やはり何年かしてしまうとそのことを忘れたり,緩んだりしてまた事故が生じて事故多発の年となるようです。

最初に書いた「失敗を知られたくない心理」といい、この忘れると言うことも、人間らしいんだろうなぁ~ と思いますが、やっぱり何とか継続をしていかないと事故が生じてしまいます。
トレ‐ニングをずっと継続して行く。マンネリにならないよう要所要所を、たとえば軽度の事故が生じたときに全て考えなおしてみるとか
ストッパ-を入れていかないとまた同様なことが起こり得るかもしれません.
今騒いでいる医療事故報道もある時期が過ぎれば下火になると思います.
事故が余り減っていなくても.





道路もいっぱいできて道も複雑になっていますが、何と「七つ角」というところがあるそうです。「七つ角」と言うからには角が七つあるのですが、複雑すぎて信号が付けれないそうです。でも信号がなくても不思議に事故はおきないそうです。  
不思議ですか?


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