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アクティブ・セ-フティ と パッシブ・セ-フティ


アクティブ・セ-フティ (Active Safety)
パッシブ・セ-フティ   (Passive Safety)

アクティブ・セ-フティ とは、未然に事故を防ぐためのものです。
車でいいますと、ABS(4輪アンチロックブレ-キ)などです。ブレ-キがロックしてしまうとハンドル操作が効かなくなり、ハンドルを切った方向に行かなくなります。それを防ぐのがアンチロックブレ-キ。すなわちロックしないブレ-キです。
パッシブ・セ-フティ とは、事故が生じたときに、被害を最小限にとどめるものです。
車でいいますと、シ-トベルト、エアバッグなどがあります。事故が生じ何かにぶつかった時に、エアバッグが膨らみ乗員を保護するものです。

看護などの事故防止で言われてきたのは、ほとんどがアクティブ・セ-フティになっています。
それは、事故を未然に防ぐために、システムを変更したり、事故が起きにくい物品を導入したり、マニュアルを整備したり、することで、今までのところで述べました。
事故が起こらない事がもちろん良いわけですが、いろいろな対策を行っても、事故は生じてしまいます。

じゃ、事故が起こってしまったらどうするか?
出来るだけ被害を最小限にとどめたいわけです。被害を最小限にとどめるという意味は二つあります。
一つは、「被害者である患者の被害を最小限にとどめること」
もう一つは、「事故を起こした側の被害を最小限にとどめること」
後者の「事故を起こした側の被害を最小限にとどめること」は、更に「訴訟などによる病院の損害」と
「事故を起こした人の精神的被害」とに分かれると考えます。
これらのことをここでは、パッシブ・セ-フティとさせていただきます。


航空事故の処理


日本航空の航空事故処理組織(抜粋)

応急処理局 (以下の班が含まれる)

総括情報班 事故に関する全ての情報を統括する。
法務保険班 事故に関わる民事、刑事の法律問題の処理および保険処理をする。
広報班 マスコミへの対応・対策を行う。
渉外班 関係官庁、国会への対応を行う。
運航班 事故機の運航面を調査する。
整備班 事故機の残骸の処理、事故機の整備面を調査する。
事故調査班 運輸省航空事故調査委員会を補佐するとともに、社内での独自の事故調査を行う。
旅客班 事故機の搭乗旅客、その家族などの世話を担当する。
貨物郵便班 事故機に搭乗の貨物や郵便物の処理および事故処理機材、物資の輸送手配を行う。
医務班 事故機の搭乗旅客、乗員などの医療面での世話を行う。
総務班 事故処理施設の設営、器具・備品の調達、食料調達などを行う。

「日本航空事故処理担当」 山本善明 講談社+α新書 2001 p.79より一部抜粋

航空事故が発生した場合、また航空機に異常が生じて事故が予想される場合にも、上記の航空事故処理組織が活動を始めるとのことです。航空機においての事故は、その事故の規模、影響によって関係することがあまりにも多く各班でないと対処できないものと思います。
医療事故の場合はどうでしょうか? 事故の規模、人数など航空事故に比べるとするべきことは、少ないと思いますが、いったん事故が生じてしまうと、少ない人数では対処が困難ではないかと考えます。リスクマネジャ-が対応するとしても、事前にどの部分を対応していくのか、航空業界にならって決めていた方がスム-ズに事後処理が出来るのではないかと思います。


事故が生じてから


事故が生じてからの報告経路などは省略しますが、重大な事故の場合すぐに看護部長に報告できるようなシステムが必要だと思います。
●患者、家族への対応
対応について
謝罪の方法
  明らかに看護サイドに非がある場合はタイミングの問題もあるでしょうが、すぐに謝罪する。
  しかし、因果関係がはっきりしないものに対しては、即答はさけ
  医師、師長等と相談し返事をする、これは裁判との関係でこのような    
  方法が望ましいとのこと。謝罪は事故による患者さんの障害の程度などに左右されるでしょうが必ず師長、医師、場合によっては看護部長、病院長 と行い誠意を表すことが必要だと思います。
訴訟については、いくつかの種類に分かれるようですが、たとえば事実をはっきりさせたいため訴訟する以外にも接遇などそれまでのスタッフの対応が影響してきており、実際に訴訟を起こす人はスタッフの対応に不満なためという理由もあるらしいです。
●マスコミ対策
●組織の事故対策
●当事者へのサポ-ト(精神的なサポ-トの必要性)

事故が生じたときの対処


ベテランは今までの経験があるためパニックに陥りにくく、対処が出来る可能性が高いのではないかと思う。
しかし、新人にそのような経験を積んでもらう事は出来ない。経験を積むと言うことは事故を起こしてしまう可能性があるという事である。そしてわからないことに直面すると思考が停止しとんでもないことをすることもあります。日頃トレ-ニングをしていてもいざというときに何も出来なかったと言うことはよくあることです。
宇宙飛行、航空機はもちろん医療の麻酔の世界でもコンピュ-タ-を使ったシュミレ-ションをしているそうです。
モデル人形を使い擬似的にトラブルを起こし対処していく。日頃からそのようなことをしていかないとトラブルには対処できないのだと思います。
航空機などトレ-ニングにものすごく時間をかけています。


直後のサポ-ト


看護師がミスまたは事故を起こした直後においては
看護師の経験、知識などにもよるがパニックになることがある
パニックになると正常な判断は出来ない時が多く、誤った事故対処をしてしまう事が考えられる。つまり2次的事故の可能性がある。
事故が生じると、ただでさえ忙しい業務が事故の対応をする事によってさらに圧迫され、通常業務の他に事故の対応に迫られる。それがまた事故を生じさせるきっかけにならないでもない。つまり、よりたくさんをこなさなければいけなくなるので焦りが生じてくる。また、多くは事故に関する事に時間を裂かれてしまう。
周囲の看護師は、事故をタブ-としてとらえているような病院では「見てはいけないものを、とか触れないでおこう、気の毒に」と感じるのではないでしょうか。また、そういう雰囲気の環境の人は事故を起こしても隠してしまい、自分のみで考え込んでしまい、さらなる深みにはまる事が考えられます。
しかし、周囲の看護師のやるべき事は多く、事故を起こした看護師がその事故処理および通常業務に追われるのではなく、正常な判断が出来ないのであれば、他の看護婦が対処などについて指示をしサポ-トしていかなければならない。大きな事故、看護師のショックが大きい場合などは、その看護師を一時、仕事からはずす事も必要だとかんがえます。
事故が生じる事によって仕事が増える事については周囲の看護師で業務の分担を変える事はおそらくどこの病院でもしていると思いますが
その看護師がパニックになっている時は状況などの記憶が出来ない場合が多い
周囲の看護師も時間、状況の確認を複数の看護師で確認すればよいと思う。
つまり事実追求のサポ-トが必要。
精神的なサポ-トについてはショックの程度にもよるがおかしな同情やかばいあいをする事をしないようにしなければいけない。

また、事故の内容などによっては本人への指導が必要です。


長期的サポ-ト


個人の資質、事故の状態によって一概には言えないが、患者に副作用が見られない程度の事故だと忘れてしまう事もあるが、重篤になってしまった場合などは
「自責の念、ショック、恐怖心、やる気を失う、拒否反応、過慎重、他者の反応が気になる」などの反応が出てくる場合がある。その結果、PTSDや不眠症になったりすることもあり、事故を起こしてしまっていたたまれなくなって辞めてしまったという話を聞きます
日頃から事故に対しての雰囲気づくりが大切 スタッフとの円満な人間関係、つまり周りからのサポ-トも必要だという事です。おかしな中傷、誹謗することなく受け入れるという事が必要ではないかと考えます。 つまりそれが事故を表出しやすくなりレポ-ト、報告書の提出率を高め、事故減少になっていくと思います。
長期的には精神科医のサポ-トが必要だと考えます。
まとめ
看護師は「患者の為に良い事をしたいと思っているので、失望、絶望がある」
事故防止に関する研究などはありますが、事故を起こした当事者の心理であるとか、のちのサポ-トについて研究されたものはあまりないようです。ぜひ、研究してみたいと思っています。

事故が生じると
人的、経済的、時間的、価値的(病院の評判とか)等が下がったり、損失したりする。



組織事故と言うけれど
いろんな人がいるものですが、たいていの人は事故を起こそうなんて思っていないし事故を避けようと日々研鑽を積み とたいそうなものでもないけど まぁ~勉強したりするのですが、
トレ-ニングを受けていても三方活栓からの注入が出来ない。再度指導しようとすると、「わかってます!」と受け入れない。
 そういう人もいますけどねぇ。 どうします?!





失敗したときに当事者の頭に浮かぶ事柄


続々・実際の設計 畑村洋太郎 日刊工業新聞社 2000 p.38より

上記の本から引用させていただいています。この本は、設計の失敗から学ぶという工学的なものですが、
看護における事故を起こした時もそれほど変わらないのではないかと思います。
更に引用させていだきますと。
「最後の伝達まで考える人は、自分に余程自信がある鉄人に違いない。普通の人は失敗の事象自体でパニックになる。自動車事故を思い出せばよい。人身事故ならばもちろん頭の中は真っ白である。物損事故でも、私は悪くない、修理はいくらだろう、保険料が高くなるな、ぐらい思うのが関の山で、原因、対策を即時思考できる人は保険屋になれる。」
続々・実際の設計 畑村洋太郎 日刊工業新聞社 2000 p.39~p.40より

場数を踏んで「なんでもこい! 」という人でもパニックにはなります。いかに早く落ち着けるか、すぐに他のサポ-トを求めることが出来るか?


管理者の対応


患者、家族への対応


当事者に対して
  叱責しない
  事実を知ろうとする
  擁護的かつ中立的立場
  生じた事故に対しての対応、援助

管理的なもの
  報告体制の熟知
  雰囲気づくり
  医師および事故調査との連係
  病棟内および新聞などでミス事故があった時、啓発をして注意喚起する。
  インシデントと事故の分別 と看護部長への報告
  原因をはっきりさせる周辺状況の把握
  本人がいる時に申し送り時などに報告意見を言ったもらう。(例外有り) 

  勤務表など労務管理

環境について
  事故がおこらないような病棟管理(設備、システム、職員の勤務プログラム)
  危険性がある場合はすみやかに関係部署に報告

特に最初が大切で、初めてのミスの時にしかられると看護師はもう報告しなくなるかもしれません。受け入れてあげることが大切です。
事故報告を受け、明らかに嫌悪感を表す師長もいますが、そうなるともう報告書なんか出さない!という
ことになりかねません。私が事故を起こして報告した時、怒られなくて良かったと
思いましたし、受け入れてくれたということがうれしくもありました。
事故のあとの処理が一息ついた時ぐらいに、一声かけてあげると精神的にもいやされるのではない
かと思います。もちろん事故のその後を手伝ってあげることも必要でしょう。
また、師長などが率先して事故報告書を提出すると、その出している姿を見て、報告書を積極的に出し
ていくのではないでしょうか。





「徒然草」に高名の木のぼりというところがあるのですが、
あやまちは やすき所にも 必ず仕ることに候
これは木の高いところは誰でも落ちないように気をつけるが
低いところだと気がゆるんで落ちやすい。という意味。



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