事故が発生すると、いろいろな対応をしなければいけません。
現在、事故防止という防止という観点からいろいろなアプロ-チがされており、実施の面においても徐々に効果がでているようです。しかしながらいくら防止策を講じたとしても事故は生じます。この時に、失敗した。もうダメだ! ではなく いかに事故後の対応を行うかによって、被害の程度が異なってきます。被害というのは、なにも被害者の障害の程度だけではなく、事故をおこした当事者のメンタル面、そして組織全体の評価低下につながっていきます。
事故対応のプログラムがあり、それを知って実行することができれば、いざという時にでも的確に対応ができ、状態が更に悪化することは少なくなるのではないかと考えます。

 1.事故初期の対応


事故が生じた時の初期の段階ところを図示しました。 
図には示すことが出来ませんでしたが、当事者と患者および家族との関係などいろいろな項目と関係しています。

 事故が生じてからの初期の段階の一部について述べてみます。
 

 なぜ必要か?

 理由

現場の保存
調査のために必要。
リスクマネジャ-、事故調査委員会などの調査による
原因究明の手がかりとなる。
広尾病院の事故において二次的な事故を防ごうとして注射器を捨ててしまったことにより原因究明の妨げになっていた。

原因究明
当事者および周囲のものから速やかに情報収集する。
何を間違えたのかどんなことが起こったのかなどの内容を確認し、それにより救急の対応も異なることが考えられる。

広尾病院の事故において看護師が医師にヒビグルが入った注射をした可能性があることを先に告げることができていれば医師は、のこりの9mlのヒビグルを静脈の中に入れることは防ぐことができた可能性が考えられる。

上司報告
救急対応およびその後の対応
報告ル-ト参照
 大きな事故が生じた時、管理部門の対応が大きなウエイトを占めるため、速報というかたちでもできるだけ早く上層部に報告が必要。また同時にリスクマネジヤ-などによりはややかに原因究明などができ、患者対応なども速やかに行う必要があるため

患者への説明
家族連絡
誰がどのように伝えるか?
リ-ダ-を決め情報などを一元化しておく
※謝罪に関しては別記予定
病院の姿勢、モラルの問題
事実を告げることにより、無用なトラブルをさける。



 2.事故対応の実施

事故の程度によって対応は、大きく異なってきます。以下は、重大事故発生を想定しています。
被害が軽度の場合などは、行うことは異なってきます。

事故の発生

救急対応
コ-ドブル-という言葉があります。
患者に心臓とか呼吸がとまるなどの緊急事態の時に病院中に警報があり、心肺蘇生チ-ムが現場に急行するというもので、アメリカでそういうシステムがあります。

事故時にもそういうものがあればと思います。主治医に診てもらってからというのは緊急時には間に合わないときもあるかもしれません。間に合わない、対処が遅れると身体的な損傷のみならず患者との関係まで悪くなってしまうことも考えられます。
事故には、様々な様態があり、内科、整形外科と割り切れるものではなく 場合によっては、薬剤、医療器械など多種の知識と判断が必要になってきます。そのあたりが普通の急変(妙な言い方だが)とは異なるところと思います。つまり事故は人為的に傷害を加えている事が多いため、また突発的なため何が起こったのかわかりにくいのではないかと思います。たとえば注射薬を間違って注入した場合、正しく使用した場合、薬の薬効は理解できますが、間違った場合どれほどの被害があるのかなかなかわかりずらい事だと思います。

事故が生じた時の方は原因究明が難しいこともあると思います。考えられないこと、想定外のことがおこった場合は、そのような時の対応法は、マニュアルにはないわけですので、種々の職種の人の英知を集めて救急対応ができればと考えます。

救急においては、リ-ダ-を決め対応にあたるのが望ましいと思われる。
また事故後の記録するにあたって同様に記録係がいる方が望ましいと思う。

サポ-ト
どういうことが起こったのかをすぐに、他のスタッフに当事者は伝えなければいけませんが、その後当事者は直接的な事故対応からなるべくはずれる方が好ましいのではないかと思います。事故によるショックがあり対応が難しくなる、つまり記憶の曖昧さ、パニックなどにより正確に判断ができないことも考えられるのでサポ-トの人に任せるのも一つの方法であろうと思います。
●サポ-トは、当事者および関係した人より速やかに情報収集をし、現場の状況より事故原因を探りスタッフに報告し、救急活動に生かす。
●サポ-トは、当事者の精神的なダメ-ジが強くなる場合があるため、当事者の精神的ショックに対してケアを行う
サポ-トの決め方、夜間などの場合、人数がいない場合などは、難しいかもしれません。
サポ-トに関しては、次の機会に詳しく書いてみたいと思います。


具体的に、誰がリ-ダ-になるのか、リスクマネジャ-の関わりの範囲、記録係は誰がするのか、家族の連絡方法などたくさんのことを決めておかなければいけないと思います。それらは、施設によって異なることが多いと思いますので、ここでは触れていません。


 3.報告ル-ト


実線は必ず報告する。
破線は事例によって報告する。

報告ル-ト 例
医療事故発生に伴う対処規制
別冊看護管理 リスクマネジメント読本 「看護管理」編集室 医学書院 2001.3 医療事故発生に伴う対処規制p.28より引用一部改変あり

上図は、 平日における報告ル-トですが、平日と夜間・休日とではル-トが異なってきますし、上図以外にもいろいろな報告ル-トが考えられます。
大切なことは、重大事故などの時にいかに早く報告ができるかということです。原因が分かってからでないと報告ができないというのであれば管理者側の対応は遅れたものになりますので、電話などで速報というかたちで第一報が入れるのが好ましいのでしないかと思います。
またこの図には、リスクマネジャ-という名前がありませんが、報告の初期の段階でリスクマネジャ-への報告が必要だと考えます。
師長からリスクマネジャ-と部長報告。というように早めにリスクマネジャ-への報告することによって、リスクマネジャ-が活動しやすくまた、対応に苦慮することが少なくなるのではないかと考えます。

軽度の事故、インシデントなどの緊急性を要しない場合は、すぐに部長、院長に報告する必要はないと思います。
それらを集計検討対策をしたものをリスクマネジャ-が定期的に報告すればよいと思います。

ここでは、報告ル-トのことについて述べてみましたが、これ以降に訴訟問題が生じたり、マスコミ対策が必要になったりすることも十分考えられますが、ここでは初期の対応に限りました。

 4.各施設などの事故が生じてからのフロ-チャ-トなど
東海大学医学部付属病院のから医療安全対策マニュアルというところに
資料3 重大医療事故発生時の対応 (PDF 17KB)
siryo3.pdf
重大医療事故発生時の対応 (当直帯)
重大医療事故発生時の対応 (通常勤務帯) 
の連絡フロ-チャ-ト があります。

東京都病院経営本部公式ホ-ムペ-ジ  
都立病院における報告等
医療事故が起きたら (PDF 88KB )
医療事故が起きたら.pdf
1 事故発生時の対応
(1)応急処置に全力を尽くす
(2)ご家族等への連絡
(3)説明担当者の決定
(4)ご家族などへの説明
(5)手術室での事故
(6)院内報告体制
(7)正確な記録の作成
(8)証拠物品等の保存
(9)患者さんが死亡された時の対応

日本看護協会 
組織で取り組む医療事故防止
、 事故発生時の対応
医療事故に関する対応図
聖路加国際病院(案)に一部追記
上記より抜粋



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