院内暴力について

看護師は女性が多く、また、患者により身近にいることより病院内における暴力の対象となりやすい
私たちは暴力によって不安を感じ、看護に支障をきたすばかりか暴力によって、看護という仕事を続けることができなくなり辞めてしまうこともある。ここでは看護を阻害する暴力に対して声をあげていき暴力の防止対策を考えるものである。どうぞ看護師を守ってください。安全があってこその看護だと思います。看護という職業が魅力的であり続けるためにも今、暴力対策が必要だと強く感じます。 
院内暴力について 詳しく

暴力とは?

(1)乱暴な力。無法な力。
(2)物理的強制力を行使すること。特に、それにより身体などに苦痛を与えること。
大辞林より
しかし病院内における暴力においては物理的な力だけではなく、脅し、威嚇、セクハラなどのハラスメントも含むことができる。



暴力の種類 原因の分類

身体的暴力、言語的暴力、性的暴力 他にも社会的暴力、経済的暴力などと分類しているものもある。
原因の分類には 精神障害、社会経済的、環境要因、性格
violence patientsより精神科的分類と分類できるようである。
病院における暴力はここではクレ-ム、不当要求、精神疾患による暴力について分類しました。

ICN(国際看護師協会)による職場における暴力的行動の例として次のような項目があげられています。
* いじめ
* 徒党を組んで襲撃する
* 人に苦痛を与える(騙す等)
* 威嚇
* 脅迫
* 仲間はずれ(締め出し)
* 人の気に障ることを言う
* 攻撃的な言動
* 無礼な身振り
* 職場の器材を使えないようにする
* 敵意のある態度

* 殺人
* レイプ
* 傷害を与える
* 殴打する
* 身体的攻撃
* 蹴とばす
* 噛みつく
* げんこつで殴る
* つばを吐きかける
* 締め上げる・つねる
* ストーカー行為
* 性的・人種的なものを含む嫌がらせ(ハラスメント)

このような項目をあげておかないと何が暴力なのわかりにくいときが多いと思います。例えば、暴力のアクシデントレポートを書くときの参考になると思います。


対象は?

患者、家族などから看護師への暴力 また、患者同士の暴力もあるがここでは対象が看護師なので触れません。更に看護師から患者への暴力もありますが、ここでは触れません。
内部は 医師、同僚の看護師から看護師への暴力 中には上司からのパワ-ハラスメントというものもアカデミックハラスメントもみられますし、いじめもあります。この問題も大きな問題です。

暴力暴言などの対象者としては

1.看護師から患者 (虐待など)

2.患者から看護師 (いわゆる院内暴力)

3-1.患者から患者 (トラブルなど)
3-2.患者の器物破損

4.看護師同士及び医療関係者同士の暴力暴言 (いじめなど)

5-1.患者から病院 (脅しなど)
5-2.患者以外から病院 (盗難、侵入など)

とわけることが出来るのではないかと考えます。


院内と院外

院内 患者などより暴言、暴力、セクハラ 殺人、かみつく、唾を吐きかける、つねるなど。病院の備品を破壊されたりなどもある。

院外 スト-カ-、迷惑電話など 院内だけでなく暴力の危険にさらされるときがある。脅されると院外でもおそわれるのではないか?!と精神的にまいってしまう。

実際の暴力事件

2004年の 看護協会調べによると
病院や介護施設で働く職員の3割が患者や入所者から何らかの身体的暴力を受けていると調査があり、病院などが看護師にとって危険な環境にあることを表している。

最近3年間に病院で起こった看護者(看護助手を含む)が刺殺されるなどの傷害を受けた事件の報道を列記しておく、ただし、傷害を受けたのが看護師ではなく医師、又は患者が傷害を受けた事件も列記した。

2003年における。
2/27 大阪の病院で元暴力団組長が発砲。看護師長が死亡し、医師も胸を刺されて重傷を負った。
5/28 大阪の病院から、「看護助手が患者に刺された」と警察に通報があった。同署員が駆けつけたところ、看護助手が左胸を果物ナイフで刺されて病室前に倒れており、別の病院に運ばれたが死亡した。
6/3  クリニックで、受け付けに来た男がいきなり「この野郎」と大声を上げ、透析室にいた女性看護師長を文化包丁で切りつけた。看護師長は男ともみ合いになり左顔面や左首など数か所を切られ軽傷。
10/13 国立病院1階の夜間診察室で、通院患者で近くに住む無職の男が、持っていた果物ナイフ(刃渡り約10センチ)で女性看護師の右胸を刺した。看護師は重体。
12/28 大学医学部付属病院のナースステーションに包丁を持った男が押し入り、宿直勤務中の女性看護師の首に包丁を突き付け、人質にした。

2004年
06/03 茨城県の病院の診察室で、整形外科医が入院患者の男に果物ナイフで手などを切られ、左手小指に2カ月の重傷を負った。

2005年
04/06 香川県の病院で透析治療を受けていた患者が侵入者に金属バットで襲われ死亡。被害者加害者とも暴力団関係
04/21 病院入院中の男性患者が、自分の個室の床に拳銃1発を発砲した
05/04 宮城県の病院で「大声で騒いでいる男がいる」と警察に通報があった。駆け付けた署員3人が病室にいた男に部屋から出るよう指示したところ、男はいきなり持っていた短刀などで切りつけ、署員2人が左中指などに切り傷を負った。
05/29 函館の病院で応急処置室の鍵を内側から閉めて、はさみの様な物を持って立てこもった。処置室には男性1人が寝ていたが、危害を加えられることもなく無事だった。男を監禁などの現行犯で逮捕。

もちろんこれ以前にも事件はありましたし、ここで表せたのは報道があったものの一部に過ぎないと思いますし、実際にはもっと多く事件が発生していると推測できます。
更に詳しく

ニュース分析


暴力を放置しているとどうなるか?

暴力に対応することは怖いことです。恐怖は職場だけでなく、患者によっては「家にお礼参りに行くぞ!」などと言う人もおり、ストレスがずっと続くこともあります。個人での対応は難しく組織の対応が必須なのです。もし、組織もそして周囲の看護師も怖いから暴力を見逃していくとどうなるのでしょうか?
暴力を受けた場合、看護師は自分の対応や看護が悪いため、患者さんが暴力をふるったのではないかと自責の念にかられたりしています。患者のためにと思って看護をしているのに暴力行為などによってケアをすることがイヤになってしまったり、暴力を恐れるあまり、心のこもらないケアになってしまうのです。更には看護という職業自体に失望し辞めていくのです。こんなはずではなかったのに…と
暴力というものは看護を妨げるものなのです。
もちろん暴力が存在する病院自体も荒れてくるのです。そんな病院には…

病院内での暴力および不当要求(迷惑行為)

病院内における暴力および不当要求を3つに分類してみた

1.クレ-ム
クレ-ム(claim)とはイメ-ジは良くないのですが「当然の権利として要求すること」ということです。正当な要求であることがある。例えば待ち時間が長すぎるなどの不満などの訴えがある場合、看護師、医師の対応が悪い場合などがあり病院側が不備なところを改善するチャンスである。しかしそこで要求が度を越えて怒声、脅しになると暴力となる。また、いわゆるクレ-マ-になるとこれも暴力とも言えると思う。
claim
(権利などを)要求する、請求する、要求、請求、主張。
ただ、 日本語でクレームという場合は complaint 不平、苦情 の方が近いようです。
病院側に落ち度がなく、患者サイドの過剰な要求がある場合など
クレ-ム防止対策とクレ-ム対応の考え方  看護展望 vol.24 no.10 1999 p.16 によると
「ご不快な思いをさせて申し訳ありません」と、クレ-ムの原因に対して謝るのではなく、とりあえずは不快にさせていることに対して謝るのです。
とありました。いろいろな対応方法があるようです。患者満足度とも関係するところです。
次の不当要求との関連もありますが、「病院のクレ-ム対応マニュアル 濱川博招 ぱる出版」によると
本からの内容は変えています。
1.通常のクレ-ム 待ち時間が長いなどの 適切な対応
2.病院側に落ち度のないクレ-ム  過剰なら警察へ
3.病院側に落ち度があり、過剰な要求をされる場合 
この3番が難しいところですが、いずれにしても待たすことなくすぐに対応することが必要。詳しい対応については後に述べたいと思う。

2. 不当要求(迷惑行為)
いわゆる迷惑患者で、利益目的で作為的に暴言、脅しをおこなうもの。脅したら早く診てもらえるとか外来での要求があったり、同様に一般病棟でもみられる。
最近では行政対象暴力(病院に持ち込まれた"暴力事案"への上手な対処方法  Expert Nurse Vol.19 No.7 2003 に詳しい) というのがあり、個人ではなく組織的に脅しを行い金品をせしめるものがある。
また、一般病棟においてナ-スコ-ルが過剰に多いなどのいわゆる迷惑患者が、問題業務を妨げる問題となり結局他の患者の迷惑につながることもあります。大きな問題ではあるがここでは触れません。

2.5. 薬物中毒患者
不当要求(迷惑行為)と精神疾患の間にはいると考える。
鎮痛剤など薬物依存性のある薬物の強い要求があることは救急外来でもよく聞く。薬物中毒であればその疾患の治療をすべきであろうがなかなかうまくいかないようで、薬物の強い要求がある場合がある。

3. 精神疾患によるもの
妄想、痴呆などによるもので精神運動興奮などで自己コントロ-ルができない状態で精神科の対応となるもの。全く自己判断ができない状態では精神科の適応だと思われる。しかしながら入院患者などでは日常生活からの不満、トラブルからの暴力もある。

クレ-ムがひどければ不当要求と同じではないとという意見もありますが、ここでは異なるものとして分類しました。

病院の暴力および不当要求 その対応
精神科の場合

CVPPP(包括的暴力防止プログラム)の紹介

「包括的暴力防止プログラム」の開発 精神看護Vol.7 No.6 医学書院 p.36より引用

精神科は以前より暴力に悩まされ来た部門であるため、一般病棟より暴力の対策は進んでいるものと思われる。精神科での暴力の対応となるとすぐに護身術のようなものが思い浮かびます。精神科においては、このCVPPP(包括的暴力防止プログラム)も殴りかかれた時どうするかという技術もありますが、CVPPPはその暴力を起こしている部分だけでなく全体の流れとしてとらえるのです。

ディエスカレ-ション 言語非言語を使って患者の怒りを静めるもの
チ-ムテクニクス   身体的介入のこと
ブレイクアウェイ   攻撃されたときに逃げるためのテクニック
デブリ-フィング   後の話し合い、患者、スタッフ
暴力の患者さんを隔離することで仕事がおわりではなく。観察室に入った後のフォロ-も必要です。
対応には多人数が必要で、抑止となるものが必要だと考えます。このCVPPPは日本的にアレンジしているそうです。

(DVDブック 医療職のための包括的暴力防止プログラム 編:包括的暴力防止プログラム認定委員会 医学書院)がCVPPPは詳しくトレ-ニングもさかんに行われています。

一般科の場合

救急外来などの外来と病棟とに分けることができる。
救急外来においては意識状態、興奮などにより暴力行為が多く、疾患によっても例えばアルコ-ル依存症などは暴力行為がある場合がある。
病棟においてはことばによる暴力、セクハラが多いと思われているが、ICNによると精神科よりも一般病棟の方が暴力が増えてきている。という調査もあり、日本においても病棟での暴力が増える可能性は高いと考えられる。

組織的な対応が絶対、個人では対応しないこと。何かあればすぐに人を呼ぶこと。
暴言などICレコ-ダ-などで記録すること。また、記録すること それを見せることによる抑止力もある。
暴力の起こりにくい設備。精神科外来などはできるようになっている。つまり何かあったときに後ろ側から逃げることができるようになっている。
起こってからの対応も必要ですが、まずは起こらないような設備環境体制が必要。
更に暴力ではないが、病院はセキュリティが甘いと感じる。見舞金の盗難、事務系のパソコンの盗難などの犯罪もある。

さまざまなハラスメント  (07年3月追加)

いろいろなハラスメントの問題があります。看護師のストレスは患者からの暴力だけではなく、内なる医療スタッフによる暴力セクハラがある。いじめにより辞める人もいます。上司、同僚によるハラスメント、医師によるハラスメントは上下関係になりやすいことからもあります。モラルハラスメントとかパワーハラスメントという言葉を聞くようになりました。


アクシデントレポート  (07年9月追加)

暴力の報告書
暴力についての報告の様式があるところは少ないのではないかと思います。看護事故で使用しているインシデント・レポートを使用しているところが多いのかも知れません。
モントリオール総合病院において暴力が生じた時の緊急放送が、毎月約100件あるそうです。つまりそれだけの暴力があるということで、後の分析対応のためにレポートは必要です。
しかし、あまりにも看護事故で使用しているものと項目が異なるため、内容がそぐわずインシデント・レポートでは書きにくい。
また、暴力の報告書があればそれだけで、暴力についての認識が出来るのではないかと思います。
ただ単にレポートの様式を増やすのは混乱するばかりで好みませんが、暴力の報告書の提出につながり、分析もし易くなると思います。

看護の場における暴力 ー大学病院における実態調査からー看護管理Vol.6 No.10 より
(暴力などを受け)インシデント・アクシデントレポートを提出したことがあるか
という質問に94.1%がないと答えている。

インシデント・レポートに暴力関係の事故を書くことには
看護事故関係の様式であると、暴力の項目がないこともあり、暴力を受けた看護師が、自己のせいで患者が暴力を振るったのではないかという反省文的になりやすく、事実を見えにくくしているところがある。このことなどより暴力の報告書の専門様式を作ることが望ましいと思われます。
ただ、看護事故に比べて感情的なやりとりが多い場合があるため、リスクマネジャーまたはクレーム対処担当者が暴力の報告書のみにとどまらない詳細な聞き取り調査の上で、報告書をまとめる必要があるでしょう。

項目として考えられるものを列挙しておくと
■時間、場所、対象人数、対応人数、疾患
■形態 肉体的暴力
  精神的暴力
  セクハラ
  その他
■暴力などの経過
■被害状況
 物理的 人、物
 精神的、心理的
■対応
 上長への連絡
 一斉放送の有無
 警察連絡の有無
■添付資料
 画像
 モニター画像
 音声
■その他、管理体制、自己の気持ち

特に精神的ダメージ、自己の気持ちなどは大切なところで、その後のサポートを必要としているかどうかの項目も必要ではないかと考える。

暴力の用紙をつくることで独立した大切なものであるという意識がいるのではないかと感じます。


声をあげよう

7月6日の朝日新聞の「ひと」という欄に国際看護師協会会長の南裕子さんのことばが載っていました。
「自己を犠牲にし、患者に献身的になればいいケアができるという発想は、ナイチンゲ-ル精神の誤解」
と書かれていました。暴力を受けること、セクハラを受けることがケアをする看護師だからといって絶対許されるべきものではありません。世間一般ではあれほどセクハラが問題になっているのに病院では許されているセクハラ暴力があります。ナイチンゲ-ル精神の誤解は、何も我々看護師だけでなく一般の患者も誤解をしていると思います。
暴力に対して声をあげていかないと私たちはまっとうな看護ができなくなることが予想されます。


他の産業では       (07年3月追加)

他の職場の方がメンタルヘルスケアが進んでいるのではないかと感じるときがあります。
大企業などはハラスメントについては敏感ですし、診療所とか病院のある企業もあります。
看護は直接患者に触れたりすること性器などのケアをしたりすることもあり、看護者はやや寛容なのかも知れません。
看護も他の産業と同じように顧客との関係のトラブルは多く、いわゆるクレーマーとかによる精神的圧迫もあります。
医療の場合は、それにくわえて身体的暴力が他の産業に比べて多いのではないかと思います。確かなデータはありませんが、そう感じます。実際に精神疾患とか認知症の方から言葉の暴力からセクハラを含む身体的暴力があります。他の産業では身体的暴力をすることは犯罪になるということを知っているのでしょう。また女性の多い職業なので必然的にそのようなハラスメントの対象となりやすいことも言えると思います。
医療の現場は他の産業と同様もしくは大きく暴力の危険にさらされているのです。
しかも医療という患者を守る現場で、患者を守る立場である看護師が危険にさらされています。更にその人を守るべき病院において看護師は守られていないと感じるときがあります。他の企業などで行われているメンタルヘルスケアを病院はしているのでしょうか? 健康診断はします。でも身体の健康診断であり、精神的なものについては余り触れられることがないのではないかと思います。
暴力以外にも私たち看護師さまざまなストレスを受けています。患者の死、感染のおそれ、重傷者への看護の緊張などどれも一般のサラリーマンでは受けないような強いストレスを受けています。企業でもさまざまなストレスよりうつになったとか統合失調症になったなどの話を聞きます。

他の産業から学ぼう

暴力は他の分野でも問題になっています。最近話題になっているのは大阪教育大学付属池田小学校の事件以来大きく取りあげられ、対策も講じられています。

不審者から子どもを守ろうでは学校、家庭、地域が一体となった取り組みをすすめており、

校内編
●危機管理マニュアルの見直し
●登下校時以外の門の閉鎖
●防犯カメラ、防犯ブザー等の設置
●来校者の記名や名札の着用
●不審者侵入を想定した避難訓練
●職員による校内巡視
●職員の研修や校内体制の整備
●警察との連携強化
防犯カメラと
モニターテレビ

校外編
●教職員の校区内巡視
●登校時の交通指導と合わせた安全指導
●警察官や育成センタ-補導員等の巡回指導
●地域団体の協力による巡回指導
●自転車や自動車に「パトロ-ル中」のプレ-トをつけての巡回指導
●「子どもSOSの家」などの活用
●地域の危険箇所をまとめた「安全マップ」の活用
(上記HPより引用抜粋)

また、他の見方としては、教育、事件後のサポ-ト、事故を起こりにくくする環境、法律、更には学校などでは不審者をつかまえるための"さすまた"というのもあり、いざというときには侵入者に対して消火器の使用なども考えられているそうです。

学校だけでなく、警察、コンビニ、航空機の対応も参考になるでしょう。特に航空機に関しては航空機内の迷惑行為が墜落につながることもあり改正航空法 として法制化されています。
分野の違いこそあれ参考となるところは多いと思います。

もちろん学校と病院とでは異なるところは多いです。しかし弱者が多くおり、テロまで行かなくても不審者が入ってきた時の対応は学校よりも難しいものかも知れません。多くの病院ではそのような場合想定したトレ-ニングはほとんどおこなわれていないと思います。


対策

ようやく医療の現場も暴力対策に取り組み始めたという感じがします。暴力が多いとされている精神科でさえ暴力に真剣に取り組み始めだしたのはここ数年のことです。

設備
 簡単に入りずらい病棟の仕組み、明るさ、監視カメラ
監視カメラをつけることに対して問題があるという人もいらっしゃいますが、監視カメラをつけて犯罪が減少したという事例たくさんあるようです。また、ガ-ドマンを雇っているところもありますし、アメリカでは金属探知器があるところもあるようです。

病棟が直接見えず、テレビカメラもあるため入りにくい構造


「割れ窓理論」というのがあり、窓が割れているのを放置しておくと、ここは手入れがされていないということでますます荒れてくるというものです。
フローニンゲン大学の社会心理学者Kees Keizer氏の研究によると、 「ある郵便受けの近くの壁に落書きがあったり、付近にごみが捨ててあったりした場合、被験者がその郵便受けから5ユーロ札入りの封筒を盗む割合は25%で、郵便受けの周りがきれいだった場合の13%を2倍近く上回った。」11/21ロイターから引用
つまり病院も同様に破れたままの張り紙、整理されていないパンフレット類などをみるとこの病院は管理が行き届いていないと「割れ窓理論」で荒廃していくものです。

明るさは、診療室だけでなく廊下、看護師などが夜間に行き来する通路も明るくないとねらわれたり、雰囲気が悪いものとなる。

教育
 患者に対して権利だけでなく、義務を果たさなければならないことを明確に表示し、暴力行為などがあった場合には退院などあることなどの同意を得たり、病院の理念のところに権利と義務を明確にした表示をしておくとよいと思われます。例えば杏林大学医学部附属病院の「入院中お守りいただく事項について」には
14.院内での身体的暴力・暴言やセクシャルハラスメントを行った場合は退院していただきます とあります。
また、患者側の教育だけでなく看護師側の意識も大切です。例えば看護事故だけでなく暴力を受けたことについても事故報告、ヒヤリハットをかくことにより意識も変わりますし、デ-タとして暴力事例を集めることができます。
特に看護師側は暴力に対して患者からの暴力を考えられない人もおり、入職時から対応の教育をすべきである。また定期的な研修を全職員にすべきである。

システム
 暴力があった際にどのような対応をするか、例えば暴力が発生したときに院内一斉放送をし、コ-ドXXというような隠語を決めておき、担当者はすぐにかけつける。暴力患者も多人数がくるとおとなしくなる場合が多く。むやみな紛争に発展しないようにする。どの程度になると警察に連絡するかなど、マニュアルで決めておく。また、マニュアルを作っておくのと同時に訓練をする必要がある。また暴力内容を記録しておくことが大切で、後にトラブルになる場合が多いと思われるので、ビデオ、写真、録音、筆記などで記録を残しておくべきである。
火災訓練と同じように暴力に対する訓練をしておくべきである。また、暴力対する訓練をしているというところを患者に示すことも患者の安心感につながり、暴力を行う側はやりにくいと感じされれるのではないか。

交渉
 実際の交渉にはテクニックが必要で、約束をしない。トップと対応させない。などいろいろあります。詳しくは全国暴力追放運動推進センタ- 
「自治体職員が知っておきたい 危機管理術」 
「病院のクレ-ム対応マニュアル」などの本が参考になると思います。

船橋市立医療センタ- 医療安全管理室掲示板 の中に 6-12:暴力・セクハラ があります。

法的対策

もう一つの院内暴力

これは行政対象暴力といい暴力団や右翼を名乗るものが行政機関に不当な要求をするものですが、企業なども最近厳しく対処しているようで、対象が病院などにも及んできています。看護師が対応を直接することはあまりないと思います。

暴力団員等に対する基本的応対要領15か条

Ⅰ平素の準備

1.トップの危機管理
トップ自らが、「不当な要求には絶対応じない」という基本的方針と姿勢を示し、毅然とした社風を構築していく。
担当者が気楽に報告できる雰囲気づくりを行う。

2.体制作り あらかじめ対応責任者、補助者等を指定しておき、対応マニュアル、通報手順等を定めておく。 対応責任者は、組織を代表して応対に当たることから、組織としての回答を準備しておく。 応対する応接室を決めておき、録音、撮影機器等をセットしておくとともに、暴力追放ポスターや責任者講習受講修了書等を揚げておく。

3.警察、暴力追放運動推進センター等との連携 警察や暴追センターとの連携を保ち、事案の発生に備え担当窓口を設けておく。

Ⅱ有事の対応(不当要求応対要領)

1.来訪者のチェックと連絡
受付係員または窓口員は、対応責任者に報告し、応接室などに案内する。(アポイントはお取りですか?)

2.相手の確認と用件の確認
落ち着いて、相手の住所、氏名、所属団体名、電話番号を確認をすること。代理人の場合は、委任状の確認を忘れないように。

3.応対場所の選定
素早く助けを求めることができ、精神的に余裕をもって対応できる場所(自社の応接室)等の管理権の及ぶ場所。暴力団等の指定する場所や、組事務所には絶対出向かないこと。

4.応対の人数
相手より優位に立つ手段として、常に相手より多い人数で対応し、役割分担を決めておく。(責任者、記録係、録音係)

5.応対時間
応対時間が長いと、相手のペースにはまる危険性が大きくなります。可能な限り短くすること。最初の段階で「何時には会議がありますから何時までならお話を伺います」等告げて応対時間を明確に示すこと。(時間です! お引き取りください)

6.言動に注意する
暴力団員は、巧みに論争に持ち込み、応対者の失言を誘い、または言葉尻をとらえて厳しく糾弾してきます。「申し訳ありません」、「検討します」、「考えてみます」等は禁物です。

7.書類の作成・署名・押印
暴力団は「一筆書けば許してやる」等と詫び状や念書等を書かせたがりますが、後日金品要求の材料などに悪用します。又、暴力団員等が社会運動に名を借りて署名を集めることがありますので署名や押印は禁物です。

8.即答や約束はしない
暴力団員の応対は、組織的に実施することが大切です。相手の要求に即答や約束はしないことです。


暴力団員は、企業の方針の固まらない間が勝負の分かれ目と考えて執拗に、その場で回答を求めます。

9.トップは対応させない
いきなりトップ等の決裁権を持った者が応対すると、即答を迫られますし、次回以降からの交渉で「前は社長が会った。お前ではだめだ。社長を出せ、社長が会わない理由を言え」等と喰ってかかられます。

10.湯茶の接待をしない
湯茶を出すことは、暴力団員が居座り続けることを容認したことになりかねません。
また、湯飲み茶碗等を投げつける等、脅しの道具に使用されることがあります。
歓迎するお客さんではありませんので、接待は不要です。

11.応対内容の記録化
電話や面談の応対内容は、犯罪検挙や行政処分、民事訴訟の証拠として必要です。
相手に明確に告げて、メモや録音、ビデオ撮影をする。

12.気を失せず警察に通報
不要なトラブルを避け、受傷事故を防止するため、平素の警察、暴追センターとの連携が早期解決につながります。

京都府暴力追放運動推進センター http://www.kboutsui.com/kihon.html 15か条を引用

評価

評価をするところとして日本医療機能評価機構があるが、統合版評価項目案V5.0を引用抜粋すると

統合版評価項目案V5.0(20040803)

2 患者の権利と安全確保の体制
2.4 患者の安全確保
患者の安全確保2.4
安全確保のための組織体制が確立している2.4.1 5・4・3・2・1・NA
安全確保のための体制が明確である2.4.1.1 a・b・c・NA
安全確保の方針が明確である2.4.1.2 a・b・c・NA
安全確保の手順が明確である2.4.1.3 a・b・c・NA
安全確保のための活動が行われている2.4.2 5・4・3・2・1・NA
安全確保のための院内の情報を収集する体制がある2.4.2.1 a・b・c・NA
安全確保のための院外からの情報を活用している2.4.2.2 a・b・c・NA
収集した情報を分析し改善策を実施している2.4.2.3 a・b・c・NA
安全確保のための教育・研修を実施している2.4.2.4 a・b・c・NA

病院の保安体制が適切である6.6.3
病院の出入りに関する規程が定められている6.6.3.1
保安を管理する体制が整備されている6.6.3.2
保安管理業務の内容が適切である6.6.3.3

訴訟などが発生した場合に誠実に対応する体制が整えられてい

6.6.4
院内での担当者が明確にされている6.6.4.1
的確な状況把握がなされる仕組みがある6.6.4.2
外部の関係者と適切に対応する仕組みがある6.6.4.3
病院賠償責任保険に加入している6.6.4.4

とあります。これはバ-ジョン5なのでまだまだ変わっていく可能性があります。
(Ver.6.0)の草稿版には 6.1.3.3「院内暴力に組織的に対応している」という小項目が追加されている。


日本の状況

全日本病院協会 過去1年間において職員に対する院内暴力を経験したのは52.1%の病院。警察への届け出はわずか5.8%
看護協会の調査によると過去1年に身体的、言葉の暴力の被害を受けたことがあるのが約30%となっている。
「2003年保健医療分野における職場の暴力に関する実態調査」より
また栗田の調査によると67.6%が暴力を受けたとなっている。


海外の状況

2008年1月21日発行のOccupational Medicine,に掲載された研究報告によると欧州においては、 22パーセントの看護師が、少なくとも月に一度患者や、その親族からの暴力や虐待による被害を受けているとされている。

国別に見るとフランスでは、39 %の看護師が暴力の被害を受けており、英国( 29 % ) 、ドイツ( 28 % ) 、ベルギー( 23 % )がそれに次いでいる。
EU 10ヶ国における看護師の暴力による被害状況調査報告より引用
リンクが充実しており有用である。

また、イラクでは医師が武装組織などのターゲットとなることが多発し、護身用の銃を携帯することをイラク政府が許可した。
ちなみに2003年から08年9月まで134人の医師を含む少なくとも620人の医療関係者が殺害されている。

暴力をうけることによる影響と現状

看護職は暴力を受けやすい、医師の前ではおとなしくしているが、看護師の前では暴力が見られるときがある。暴力の矛先は看護者にいきやすい。特に精神科の看護師は暴力を受けても仕方がないという思いがある。
自責の念(自分の対応、ケアが悪かったので暴力になってのでは?)
看護師の尊厳が傷つけられる
看護者の安全が脅かされておりケアにも影響し、仕事を辞める人も
組織が暴力に対応していないと看護師は誰にも相談できず負担を抱え込んでしまう。
暴力を防止していかないと暴力がはびこる。
安全でない施設と思われると患者が来なくなる可能性も
また、他の病院でも同じ問題を抱えていますが、(いくつかの病院に聞いてみた)なかなか表に出せず情報を共有できない問題がある。看護事故においてヒヤリハットなどを共有できるようになりましたが、暴力についても同じように情報の共有ができれば対策は進むと思います。

これからの課題

暴力に対して声を上げていく、暴力に対するトレ-ニング、暴力を受けた後の報告および処理方法の明確化及び法的対応。
暴力についてもヒヤリハットを提出していく(この場合身体的に傷害を負ったものだけではなく精神的に傷ついたものも書いていくべきであり、暴言など身体的に傷つくものではないが精神的にものすごく負担となることがある。このようなことも書いていかないと対応は難しい。) 他の施設、看護職全体での情報の共有。
組織的な対応が必要。サポ-トの必要性
入院承諾書に暴力があったときに退院なりの処分があることを明記する方向とのこと。
その時どのような流れで誰が処分などをするのか? また外来迷惑患者に対しても例えば患者様の権利と義務などをホ-ルに掲示しておけば啓発になるのでは?
暴力に対しては、施設面の改善、警察への協力の要請、法的な対応までいろいろ考えていくべきで、航空機関係では法制化までされている。2003年改正航空法 一部のみを抜粋すると
「航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務の執行を妨げる行為であって、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持に支障を及ぼすおそれのあるもの」
医療の現場でも人の命と関係しています。ただ単なる迷惑行為に終わらない事も考えられます。将来的には明確な法制化も必要かと考えます。
病院全体で暴力対策に取り組まなければ行けないし、他の施設も同様の問題を抱え込んでいる。
学校も池田小学校の事件以来学校安全について取り組んでいます。例えば侵入者に対する"さすまた"での取り押さえとか、父兄による巡視とか取り組みがされています。病院では地域との連携は難しい問題かも知れないが場所によっては効果的かも知れない。
盗難など外部からの侵入者の問題。外部からの侵入者によって患者が傷害を受ける事件 例えば狙撃される。バッドで殴られるなど



仕方がない        (07年3月追加)

看護の場における暴力 ー大学病院における実態調査からー看護管理Vol.6 No.10 より
患者への対応や気持ちの変化のうち「仕方がないと思った」という項目が一番多い。また、暴力と思わなかった理由では「病態的に仕方がないから」が多かった。
その部分だけで曲解してはいけないので詳しくはその文献を読んでいただきたい。
暴力により特に疾患による暴力についてはやるせなさを感じる。もちろんケアを工夫することも大切なことですが、メンタルヘルスケアのサポートが必要だと考えます。「仕方がないと思った」ということは誰にも相談できないとか我慢しなくてはいけないと思うことは辛いことです。


患者の参加        (07年8月追加)

ささえあい医療人権センターCOMLが「医療者のホンネと悩みホットライン」というのをしていました。患者と医療者側の歩み寄りを感じます。8月19日より読売新聞の特集で院内暴力が掲載されています。今までは専門誌ぐらいしか取りあげられていなかった院内暴力を一般の人にも理解してもらえる良い機会だと思います。
院内暴力という存在が理解され、一般の患者が今までのように脅えるのではなく、一般の患者も医療者と暴力反対と言えるようになればいいと思います。言える勇気はなかなか難しいと思いますが、他の部門でも子どもに対してみて見ぬ振りをせずだめなものはダメといおうということをしてますよね。
そのような暴力反対が医療者だけでなく他の良心的患者にも根づいてくれたらそれこそモラルのあるみんなで暴力排除ですよね。

暴力患者の理解      (07年11月追加)

暴力患者を理解するというのは何か奇異な感じがすると思います。
暴力を振るう要因となっているところを理解できれば、また異なる展開があるのではないかと思われます。

暴力を振るう人は統合失調症、人格障害だけでなく子どもの時に虐待された経験、家庭内暴力を見ていたことなど過去を知ること、暴力に及ぶその他の素因などから、暴力患者を理解することが出来る可能性がある。
背景を探ることによって暴力に至る経過がわかるかも知れません。もちろん看護師の範囲外になると思いますが。
精神疾患によって暴力に及ぶ患者がそうであるように、希望と同意があれば精神科での治療とかカウンセリングなどを受けることが可能ではないかと思われます。
暴力の患者を排除したい。そのような患者を専門施設で隔離したいと言う気持ちがあますが、現状では専門施設などなく。行き場がなく同じ事を繰り返す彼らにもまたよくなる機会を与えるべきであると思います。

様々な取り組み      (07年10月追加)


院内暴力防止のために様々なところが取り組んでいます。

職能団体である日本看護協会はもちろんのこと、各施設でも取り組んでいますが、取り組み方に温度差はあるようです。

マスコミ
新聞社などが院内暴力を取りあげテレビなどで放映されていたらしいです。医療事故などの際にはさんざんマスコミに言われましたが、院内暴力についてはぜひマスコミの力を借りてでも少しでも院内暴力ということの認知、患者側も医療者側も、院内暴力が減少すればと思います。

学会においても院内暴力クレームについて取りあげています。
専門学会かあるかどうかはわかりませんが、安全関係の学会で院内暴力について取りあげられています。

また、患者側の動きもあり、「ささえあい医療人権センターCOML」というところが、暴言だけのようですが、医療者対象に電話相談を行っていました。患者塾というところも院内暴力についてのアクションがあります。お互いに理解しようとする歩み寄りを感じます。

一般市民の院内暴力への意識は低いようで、院内暴力は看護師から患者への虐待であると思っていたり、病院でそんな暴力がおこっているのか?と全く知らない人もいます。様々な広報例えば看護の日のイベントなどでマイナスイメージになってしまうかも知れませんが、看護職全体を良く知ってもらうためにも、市民に理解してもらい暴力防止につなげるためにも必要でないかと思います。



感情と看護        (07年8月追加)

看護師は患者を受容しなければいけないので、暴力を受けても受容しなければいけないという感情規則があります。暴力を受けると辛くて、またその辛さの行き場がない時があります。看護をするのが辛いのはまだいいのですが、看護を出来ないさせてもらえない辛さがあります。おそらく多くの看護師がビジネス以上の気持ちを"看護"という職業に持っていると思います。よりよい看護をしたいと。

疾患と暴力        (08年2月追加)

暴力の分類はさまざまに分類できるでしょうが、ここでは疾患による暴力と外来などの脅しなどによる作為的な暴力に分けて考えてみる。
作為的暴力
まず作為的な暴力については、わざと脅したりし自己の利益を得ようとするものである。現在さまざまな暴力対策が考えられ、施設などの環境面から法的な対応、暴力が生じた際の対応されています。それらの対応により大きな効果あり、私たちが受ける精神的な安心感もずいぶんと変わりました。
疾患による暴力
しかし、一方の疾患による暴力は、判断能力が低下していたり、不穏であったり、幻覚があったりと作為的に暴力行動を行っているものではない事が多い。この場合の対応は、作為的な暴力に書いたさまざまな対応も効果があるものもあるが、そうではない場合が多い。それにより看護師の行き場のないやるせなさを感じてしまう。もちろん私たちのケアによって暴力が改善することもあるが、疾患により暴力を振るわれた場合はやるせなさを感じるときがある。また、そういうことが続くことにより看護への情熱が失われることも考えられる。
看護の場における暴力 ー大学病院における実態調査からー看護管理Vol.6 No.10 より
患者への対応や気持ちの変化のうち「仕方がないと思った」という項目が一番多い。また、暴力と思わなかった理由では「病態的に仕方がないから」が多かった。
その部分だけで曲解してはいけないので詳しくはその文献を読んでいただきたい。
暴力により特に疾患による暴力についてはやるせなさを感じる。もちろんケアを工夫することも大切なことですが、メンタルヘルスケアのサポートが必要だと考えます。「仕方がないと思った」ということは誰にも相談できないとか我慢しなくてはいけないと思うことは辛いことです。


メンタルヘルスケア    (08年3月追加)

メンタルヘルスケアについてはたくさん書かれている。
厚生労働省指針に対応した メンタルヘルスケアの基礎 中央労働災害防止協会
CDがついており、ストレスの程度が測定できる。
また中央労働災害防止協会のHPで簡単なストレスのチェックができる。

随分前になりますが、同僚だった看護師さんが自殺したということがありました。自殺に至った理由は何かはわかりませんが、ものすごくショックでした。年間3万人が自殺で亡くなるので決して珍しいことではないのですが、回りのものにとってのショックは大きい。
彼女は以前精神科に勤務していましたが、患者さんの怒声を聞いたり、暴力を振るわれそうになったことについて恐怖感を感じていることを言っていました。
そのことが原因の一つかどうかはわかりませんが、私たちはそのとき彼女に十分なサポートをすることが出来なかったのだと思います。悔やまれてなりません。

病院におけるメンタルヘルスケアが十分なものだったのかどうかわかりません。
看護師は人の心の健康まで考えているのに、自分たちのメンタルヘルスケアのことは余り考えられていないのではないかと感じる。
私たちは人を守る看護師として同じ看護師も守っていかなければいけないと思いますし、自己のコントロールも必要だと思います。
看護職の精神疾患への罹患率はわかりませんが、回りを見ると少なくないと感じています。これも根拠のないことなのですが、少しでも健康を考えるものとして、施設として精神疾患になっていいはずはないでしょう。
暴力を受けることによって私たちの心はどうなるのか? メンタルヘルスケアは必要です。
いつでも相談できる体制、定期の職員健康診断に精神の健康診断を入れる。
それをやっている病院がどれくらいあるのだろう。

暴力と看護の範囲

社会的に問題のある人と相対することが看護であろうか? 部分的にそういうこともあるかもしれないが、看護ではなく事務、および安全管理者の仕事だと考える。



nurse call 2007.8

また逆に精神科の患者に対することは看護である。これは精神科の患者が興奮などをしている場合、妄想、幻聴からの精神症状から来ていることが多いため症状のケアとしての看護だと考える。そのため精神科は他科に比べ早くに対応を考えている。 不穏、せん妄状態、認知症の患者はどうだろう。同じく症状から来ており自立が出来ないなどケアが必要であり看護である。 グラフを見ると社会的に問題のある人が多く看護ではない人が多い。 精神科の患者を除くと病棟での暴力割合は不穏・せん妄状態、認知症をあわせると49%ととなりほぼ50%である。 つまり不穏・せん妄状態、認知症の暴力を減らせば、看護師が暴力を受けることが少なくなる。これからは不穏・せん妄状態、認知症の患者が増えてくると思われるが、これらの患者の対応を研究していかなければ、拘束などが増え、看護としては退行していくかもしれない。高齢者の看護が結局暴力減少につながると考える。

管理人挨拶


病棟内の研修で作ったものに多少の加筆をしただけのものです。時間、要望があれば系統立てて内容を充実させていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。